新しい価値

2006/04/04, 23:56 | 固定リンク

4月4日 火曜日 晴れ 

 都会からエスケイプしたい。でも、ライヴがあるから出来ない。たまには俺にも無気力の嵐が襲ってくる。静かに自分に向き合いたい。だから、山積してることをさっさと片付けよう、と思う。
 
 全然関係ないんだけど、1991年にリリースされたロビー・ロバートソンのアルバム「storyville」はマスターピースだ。曲も、演奏も、アルバムに込められた想いも、ミキシングもマスタリングも。それを超えるものを以来、聴いたことがない。スタジオでのリファレスンスにもずっとこのCDを使ってきた。スピーカーの特性も、部屋の鳴りも、このアルバムならすべて聞き分けられる。でも、聴き過ぎて、CDが壊れてた。友人から、最近ロビーの監修の元、リマスターされて、彼のソロが2枚組でリリースされたって聞いた。その値段、2枚で1万円。絶句。でも、俺はその友人に頼んで手に入れた。俺は彼のソロの一枚目はあんまり好きじゃないから、storyvilleは俺的に1万円したことになる。でも、素晴らしかった。思うんだ。CDには再販価格ってものがある。それがレコード屋さんを保護してる側面もある。でも、俺たちはパッケージってものに、愛着がある世代だ。自分で音楽を配信しておきながら、俺は携帯電話で音楽を聞かないし、ipodだって好きだけど、それに精密な音質を求めてはいない。クラッシックやジャズを愛してる人にはmp3はキツいだろうな、と思う。だから好きなものは時に、高くてもいいんだ。ローリングストーンズが今回、渋谷公会堂で派手な仕掛けもなしに、5人こっきりで演奏してくれるんなら、俺は30万でもそれを観たい。長くなくてもいい。1時間でも。でも、ライヴに行って、でっかいモニター観ながら、音が遅れて伝わってくるのは耐えられない。価値ってものは人によって違うんだろうけど、俺はそう思う。芋焼酎のお湯割りを飲みつつ、流れてくるリマスターのstoryvilleは豊潤で無限の拡がりを持った音だった。至福。ありがとう。

by 山口 洋