煤だらけの列車

2006/04/14, 20:02 | 固定リンク

4月14日 金曜日 霧の中、アゲイン 

 朝7時に起きた。霧の中だった。幽玄な眺めだったけれど、たまには太陽が見たい。気分転換の野良仕事を除いて、ずっと曲を書いていた。ファインダーを覗いて、画架と構図を決め、フォーカスがロックした感じ。残念ながら、それにはほど遠い。まったくのフィクションではないけれど、空想と現実と幻想と現在と過去と未来がごちゃ混ぜになっているから、焦点が合わないのは仕方ない。昔はこの作業が苦痛だったけれど、今は愉しい。だってプチ映画監督兼、脚本家みたいな仕事だからね。熊手をふるって考え、草刈り機を振り回して考え、飯を作りながら考え、風呂に入って考えている。多分ちょっとだけ哀れな光景だとは思うけど。
 ところで、末恐ろしいくらいの数の「土筆」が顔を出している。奴らはちょっと遠出して、探しながら摘むから可愛いんであって、すすき野よろしく、にょきにょきあちこちから生えていると、かなり不気味な光景である。で、「土筆」って枯れたら、ナズナ(だったっけ?ハコベだったかもしれん。昨日近所の兄貴に教えてもらったんだ)になるって知ってた?おまえは変態植物か、それともカフカの読みすぎなのか?どーりでヘンな形をしてると思ってはいたけど。
 夜、煤だらけの列車が夜空に向けて走っていた。そのような光景を見たり、感じたりする俺はキチガイかもしれん、と思いながら、否。ソングライターはただのイタコに過ぎなくて、意味不明の信号をアンテナ伸ばしてキャッチしてるだけかもしれん、とも思う。でもそのアンテナが「土筆」の格好をしてたら、俺は嫌だけどね。この前、東急ハンズで「廻るタイフーン、仮面ライダー変身ベルト」が売ってたんだ。ガキの頃、金持ちのドラ息子が持ってたのより、もっと精巧なやつさ。俺はあれを装着して、煤だらけの列車を追いかけたい。

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by 山口 洋