痛み
2006/05/10, 19:10 | 固定リンク
5月10日 水曜日 曇り
永かった冬が去って、ほんの少しだけ春の香りを楽しんでいたら、もう古傷の右手がじくじく痛みだした。俺の右手は「翌日の雨」を予報してくれるっちゅー、嬉しくもない特技を持っている。湿度が上がってくると、どういう訳かその昔、骨折したところが痛みだす。だから、梅雨の時期は気候と相まって鬱陶しいったらありゃしない。
小谷美沙子ちゃん(ちゃんでいいのだろうか?)の新譜を聞いた。近年稀にみる「痛い」アルバムだった。このような「痛さ」を投げかけるシンガーが同じ時代に存在していることが、とても嬉しい。そのCDに添えられた宣伝文は、俺が勝手に受け取った彼女の世界を表してはいなかった。(あの、批判してる訳ではないからね)何人たりとも、彼女の世界を言葉に変換することは出来ないと思う。だからこそ、歌と音楽がある。それが素晴らしい。
ふたつの「痛み」は似ているようで、かなり違うものだ。俺の頭の中には云いようのない「空しさ」が渦巻いているんだけれど、それは単にネガティヴな感情でもない。ふわふわ浮いているような「空しさ」の雲の中に、さっと一筋の光が刺すこともある。その光景を美しいと思うことがある。爆音の激しい演奏に、ちっとも強さを感じないことがあるように、相反するアイロニックな状況の中に、求めているものが凛々しくそっと佇んでいたりする。願わくば、そのようなものを描きたいと思っている。「虚勢」よりも「とんでもない情けなさの吐露」の方にタフネスを感じることもある。
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