ハナが立った

2006/05/14, 21:38 | 固定リンク

5月14日 日曜日 曇り 

 可愛い娘、ハナ(13歳、犬ですから)を犬猫病院に預けていた。最近、奴は癲癇を起こしていたので、獣医によーく診て欲しかったのだ。獣医氏はべらぼうな金額を取って、さんざん分かるような分からないような講釈をぶった。もうこ奴のところに連れてくるのは止めよう、と思った。俺が細かく観察日記をつけて、信用できる医者を探したるわい。家に帰ってきたハナはまず「腰が抜けた」。目が中空を彷徨っている。そんでもって、次第にここには書けないような、筆舌に尽くし難い状況に変化した。俺は覚悟した。「今夜が奴との最後の晩になるかもしれん」。だから、奴の横で夜を明かした。朝になる頃、ヒドい状況が少し落ち着き、気がつくと、俺は連日の睡眠不足でうたた寝をしていた。午前10時、ハナが立っていた。ウソだろ?でもそれは夢ではなかった。「クララじゃなかった、ハナが立ったーっ」。確かに奴は俺の手をペロペロ舐めていた。もう散歩をすることも、ボクシングをして遊ぶことも出来ないと思っていたから、嬉しかった。それから奴はフラフラしながらも、自力で外に出て、豪快な下痢をした。ひどく通りを汚したけれど、そんなことはどうでも良かった。まだ予断は許さないけれど、何にせよ、奴と暮らしてるってのは俺にとってかけがえのないことなのである。

by 山口 洋