歌を書くこと

2006/07/24, 23:28 | 固定リンク

7月24日 月曜日 曇り 

 オート・カッターのないファックスから排出された、つながった大量の誰かの人生。そして、思考の渦の中に引き込まれる。
 出発とか、欲望とか、野性とか、永遠とか、沈黙とか、弔いとか、憧れとか、帰る場所とか、激しいドラムとか、リズムとか、危うさとか、海原とか、地下室とか、王とか、長島とか、悪魔とか、魔法使いとか、エトセトラ。そして、結局何処にも辿り着くことなく、はっと我に返る。その間、俺はNYにも、アフリカにも、福岡にも、吉祥寺にも、古代エジプトにも、ドラム工場にも、スコットランドの丘の上にも、後楽園球場にも足を伸ばした。頭蓋の中で。アーメン。手垢にまみれた慣用句の羅列から、シンプルな言葉があぶり出しのように浮かび上がってくるまで。普遍で不変のその言葉。やっかいな職業で、云い得ぬプレッシャーで、面倒なことに、それが愉しい。クソっ。そこにぴたっと、奇蹟のようにはまる言葉が見つかるまで、仮面ライダーの触覚のようなものをビンビンに張ったまま、この日々は続きゆく。
 ふと、思い出したブコウスキーの言葉。「言葉を探すのに苦労するのなら、何かが間違ってるんだ」。うぐぅ。そ、そうかもしれん。今日はバンザイしよう。こうして、俺はまた夜の鳴門の渦(何やそれ?)に引き込まれるのだった。アーメン。

by 山口 洋