半ばを過ぎて

2006/08/16, 22:06 | 固定リンク

8月16日 水曜日 晴れ 

 夕刻。アルバム・プロジェクトはその道のりの半ばあたりを折り返した。楽しかったとか、辛かったとか、長かったとか。感慨を漏らす暇などあるはずもなく、結局、主観と客観を絶え間なく繰り返して、ゴールに向けてひた走るだけなのだった。権利をも含めて、自分たちの音楽を、やり方を取り戻すため、音楽ビジネスに一石を投じるため、の試みなのだが、沢山のサポートを受けていながらも、その道のりは楽なものではなかった。それはやる前から分かっていたことだけれど。俺は一旦音楽に没入すると、何も見えなくなるから、「人間的な生活」なんてものはなくなる。おまけに、事務的な煩雑なことを平行してやることは骨身に染みた。たまりかねて、いろんな友人に相談したら、「だから、あんたはアーティストなんだから、そんな事、得意だったら気持ち悪い」と口を揃えて云われて、普段、自分が「アーティスト」だなんて口が裂けても云わないし、思いもしないのだけれど、「確かに人間として、著しくバランスを欠いてんのが、俺なんだから、オールラウンドに出来る訳ねぇよな」と思い返すのだった。そんな時、心から助力、尽力してくれた人々の事は一生忘れないだろうし、逆に困難な道だと知るやいなや、さっさと踵を返した人間とは、歓びを分かち合えないのが残念だけれど。でも、たぶん、人とはそんなものだろう。
 たぶん、ここからの道のりの方が困難になることは間違いない。まだ「核」になる言葉が浮かんでこない。それがちょっとだけ怖いのだけれど、焦らず粛々と道を往こうと思う。
 週明けに、都内で短いレコーディング(3クール目 - 灼熱の大都会でベーシックを録るのも悪くないか、と)を行って、それからひとりでツアーに出ます。是非、会いにきて下さい。今回、体力をつける暇はなかったけど、前回痩せこけてしまった反省をふまえ、今はちょっと太ってます。へへ。それから、10月に東京で一本だけ、今年最後のバンドのライヴをやって、レコーディングの第四クールに突入し、11月の末にフィニッシュするつもりでいます。

by 山口 洋