金沢にて

2006/09/03, 23:08 | 固定リンク

9月3日 日曜日 晴れ 

 王子は名古屋へ、俺は金沢へ。
 金沢は素晴らしい街だ。食い物も、街の大きさも、伝統を大切にする心も、ユルさも。近江町市場の入り口に、今や書くまでもない「メロメロポッチ」はあって、主かつ大バカ者の熊野某が今日も金沢の夜を熱くしていた。その街に行くことがあったら、是非その店に足を運んで下さい。あまりのアナーキーさに、きっとのけぞると思うから。
 熊野イチオシのシンガー、「杉野君」がオープニングに歌ってくれた。いや、真面目な話、彼の音楽は素晴らしかった。「君のタートル・ネック、君のコーデュロイのパンツ」みたいな歌に俺は撃ち抜かれた。そんな言葉、俺の脳味噌からは浮かんでこない。ロン・セクスミスを上回る日本語による圧倒的な脱力感、「キセル」に並ぶとも劣らないほどヘナヘナで、水生昆虫のような風貌で、時々「猛毒」が垣間見える。こんなシンガーは金沢からしか生まれてこないだろう。近い将来、間違いなく大物になるだろうし、そんな世の中であって欲しいと、心から思う。
 杉野君の流れを引き継いで、最初は脱力して歌っていたが、何処かで何かがはじけた。後のことはあんまり覚えていない。ツアーを続けていると、突然何の羞恥心もなくなって、アホになることがある。何かの曲で、俺的ハンドマイク最高記録を樹立したことだけは間違いない。ハンドマイクと云うことは、俺はギターを弾いていない訳だから、客席の手拍子と俺の歌だけで、その間ライヴは進行していたことになる。怖い。怖すぎる。運悪く、今日のライヴは記録係のOによって撮影されていた。それがDVDにならないことを心から祈ろう。

 北陸の2日間で俺はすっかり元気になった。身体は疲れているのに心は元気と云う、誠に不思議な状態になってきた。多分、今夜は良く眠れるだろう。いやはや、音楽は素晴らしい。金沢よ、今夜もありがとう。来年、また戻ってくるよ。多謝&再見。

img06090003_1img06090003_2img06090003_3
by 山口 洋