確かな奇蹟

2006/10/20, 23:32 | 固定リンク

10月20日 金曜日 晴れ 

 スタジオで過ごす最後の日。今、地球上で一番幸福な顔をしてるアッコさんが「手作りクッキー」を持って来てくれる。魚さんと共に、コーラスを録音。この形容はどうか、と思いながらも二人の声はザ・ピーナッツみたいだった。アッコ、アルバム出たばっかりで忙しいだろうに、ありがとよ。クッキーは幸福の味がしたよ。
 さて、どうにもこうにも行き詰まってた曲があった。やれることはやった。もうボツにしよう、と9割方思ってた。魚さんに相談した。彼は白いアコーディオンをケースから出して、バックウィート・ザディコみたいなフレーズを弾いた。時、既に深夜11時。残された時間も体力もわずかだった。俺はマンドリン、魚さんはアコーディオンっつー組み合わせで、演奏してみた。何かが、狭いスタジオに降りてきた。心の底から「イェーっ」と自分が叫ぶのを聞いた。我々は(っつーか魚さんのアイデアによるところが殆どだけど)9回の裏にサヨナラ・ヒットで、没になりかけてた曲をひっくり返した。こんな時、バンドってすげぇな、とか、人と音楽をやってる歓びってのを感じる。愉しかったし、何だかじーんとしたよ。諦めなくて良かった。最後の最後にこう云うシーンが待ってたのも、何か理由があるんだろう、と。結局のところ、家に帰る頃には朝陽が昇りかけていたけれど、嫌な疲れではなかった。押忍。

追伸
今日の写真は俺が撮影したものではありません。誰かが撮ってた。でも、とっても今日が写ってる。

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by 山口 洋