my side, your side and the truth

2006/10/24, 21:16 | 固定リンク

10月24日 火曜日 雨 

 俺にとっては大切な曲だった。ある人に頼まれて書いたものだけれど、何度も歌っているうちに、大切なものになっていった。この曲を書き終えて、アルバムの要素は完結した、と思った。でも、そのレコーディングは順調とは云い難かった。問題はヴィジョンをメンバーに指し示さなかったことにある。俺が一人で多重録音するなら、と云うヴィジョンなら、いつもある。でも、このメンツでどうやってそれを表現したらいいのか、俺には分からなかった。いろいろと試しているうちに迷走した。メンバーを疲れさせた。そして時間的なリミットがやってきた。ベストを尽くしても、どうにもならないことが、この世にはある。
 クドいのか、しつこいのか、自分でも不明だけれど、どうしても俺はその曲を諦めることが出来なかった。だから、この2日間と云うもの。仕事部屋の隣にある有象無象に楽器が納められている空間を眺めては、手当たり次第に楽器を引っぱり出して、演奏した。1階にあるピアノも弾いてみた。でも、キーが難しすぎて、俺の手には余った。ふーむ。もうダメか。でも、音楽の神様は俺を見捨てなかった。録音した全ての楽器を軽い気持ちで、全部出してみた時、素晴らしい組み合わせを偶然に見つけた。欠けていたピースがはまるように。嬉しかった。さぁ、これで九州に帰れる。

 とある人がやってきて、こんな言葉を教えてくれた。「my side, your side and the truth」。「俺の云い分、君の云い分、何も間違ってはいない。でも、真実はまた別のところにあるのかもしれない」。

by 山口 洋