最大のピンチ

2006/10/27, 10:37 | 固定リンク

10月27日 金曜日 晴れ 

 久しぶりの二日酔い。本当は某先輩の店に顔を出そうとしてたんだけど、行かなくて良かった。福岡で本物の墓参りをして、阿蘇に向かう。拡がる空、新鮮な空気。云うことなし。やっと戻ってこれたよ。嬉しい。
 実はこの家、大変なことになっていた。今年の長かった梅雨のせいで、ホーンテッド・マンション化していたのだ。友人と近所のみなさんのおかげで、すぐに仕事が始められる状態になってはいたけれど。でも、落雷による停電で冷蔵庫の中がどうなっていたかって事は怖くて、ここには書けない。ここを元通りにしてくれた友人は、帰った後寝込んだそうな。ごめん。
 伸び放題の草は、それはもうひどい状態だ。でも、俺がやるべきことは機材のセッティング。順調に仕事は進む。すべての配線を終え、さ、あとは心臓であるコンピュータのチェック。が、しかしーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 奴はウンともスンとも云わなかった。起動すらしない。車の振動でイカれてしまったらしい。何てこった。エンジニアのTや魚大先生や、マネージャーHとやりとりしながら、やれることはすべて試したが、ダメだった。この山の中で、コンピュータが動かなければ、どうしようもない。俺の頭の中には「発売延期」とか、明日朝イチの飛行機でコンピュータを抱えて、東京に戻るとか、新しいのを買う(っつても特殊なものなので、ウん百万はする)とか、いろんな考えが蠢いていた。
 元はと云えば、こういうややこしい部分はすべて人に任せてきた俺が悪いのだ。使うことは出来るけれど、ハードの補修、維持はすべて人に任せてきた。この音楽用のコンピュータはその道の大家であるマスタリング・エンジニアのKさんがすべて組み上げてくれたものだ。俺は彼に電話して、現状を報告した。とにかく時間がない中で作業を進めているので、明日にでも東京に持って帰るから直して欲しいと。彼は事情を察して、電話口で全てを教えてくれた。「はい、山口君、そのフタを開けて、で、メモリーを全部外して、スロットをA6から一枚指して、拡張カードは全部外して、ロジックボードは云々、リセットボタンを押して、云々、電池を外して、云々」。彼の指示通りに作業して、出来たらまた連絡する。何度も失敗を繰り返して、最後にいつもの起動音で立ち上がった時には、真面目に泣きそうになった。よ、良かった。Kさんはもちろんのこと、関わったすべての人々の優しさが心に染みる。すべてのパーツを組み上げて、録音したファイルが動いた日にゃ、もう一回泣きそうになった。
 そんな訳で、深夜にようやくミックス体勢が整った。(写真参照)いやーーーー、かなりピンチだったな。さ、明日からがんばります。っつーか腹減った、何にも喰ってねーよ、俺。

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by 山口 洋