joy pops - 終わる時に始まるもの

2007/01/08, 21:45 | 固定リンク

1月8日 月曜日 雪 

 「Land of music」のプロモーションが始まった。プロモーションは苦手だ。同じ質問を10回繰り返されたら死にたくなる。でもジョー・ストラマーのドキュメントを見て、考えを変えた。彼は自らの状況を理解して、ラジオ局に単身乗り込むような男だった。作ったからには、伝えてナンボだと、俺も思う。

 メガストアと呼ばれるレコード店より前に、本気で、心から俺たちの音楽をサポートしてくれた場所からインストアライヴを始めたかった。だって、そうだろ?大事なのは愛なんだよ。受け取ったからには返すことができるのは音楽でしかないんだから。心ある多くのレコード店。いろんな意味で「育ててもらった恩義」を感じているそれらの店の殆どが苦境に陥っている。俺は昨日、弘前の某ブックオフに連れて行かれて、びっくりした。そこにはガーランド・ジェフリーズの名盤がゴミのようなCDに混じって250円で売られていた。俺は世間知らずだった。哀しかった。

 弘前のJoy pops。俺が思うに、本当の意味での「レコード店」。こんな時代でも、最後に残ったいくつかの店のうちのひとつ。
 敬愛する奇人である店主は昨日、突然の閉店を俺に告げた。ここに至るまでの道のりを薄々知っている俺としては、彼の決断を尊重するしかない。Joy pops - その18年の歴史の中で、最初で最後のインストアライヴなのだった。この店で働いていた竹内君、それから成田君、コメ、俺。今まで何度インストアをやったのか不明なくらいだけれど、一番心に残るものだった。最後の曲を終えた時、沢山のオーディエンスが号泣していた。つまり愛されてたんだよ、この店は。店主の一言「店は終わるけれど、音楽は終わらない」。これ以上の語る言葉は俺にもない。

 個人的なことだけれど、店の終わりに、俺たちの新しいレコードが初めて、人の手に渡っていく。(ごめん、一般発売は1/24なのだけれど、どうしても青森の人々にはJoy popsで手にして欲しかった。これは俺の独断の裁量によるもので、全責任は俺にある。)哀しくて、嬉しくて、何とも云えない気分だった。泣くな、友よ。何であれ、俺たちは生きていくんだよ。目の前には道がある。
 店主は年が明けてから、自分で編集した13曲入りの「Like a rolling stone」を聴き続けていた。驚くなかれ、この歌はDylanが25歳の時に書いたものだ。時空を超えて、その歌は俺たちに突き刺さる。ハイホー!ほれ見ろ、音楽には力があるじゃないか。

 終わる時に始まるものを
 諦めた時に手にするものを
 すべて 心に刻んだのなら
 迷える心に風を 出発の歌

by 山口 洋