幸福のカタチ

2007/04/04, 13:52 | 固定リンク

4月3日 火曜日 晴れ 

 山を下りて、東京に戻り、今日は法事で北鎌倉にある円覚寺に行ったとです。鷺が飛来する池に映る桜。それはそれは美しい眺めでした。新しくトーキョー・ミッドタウンが出来た。何ちゅー話を聞いても全く胸躍らんとです。でも、未来永劫に渡って、記憶しておきたい風景が確かにここにはあるとです。老師の暮らしっぷり。彼はとてもシンプルに生きています。実に質素です。無駄なもの、無意味に高価なものが暮らしの中に見当たらんとです。坊さんにもいろいろ居ます。彼はそんな意味で、本当に仏の道を生きる人です。いろいろと考えさせられます。
 経済発展著しい中国で、貧富の格差が拡大している、と。そんなドキュメントを観て、俺は「幸福のカタチ」について考えるとです。俺にとって「カネ」とは?生きていくのに必要なものです。けれど第一義的なものではありません。自分で良いなぁと思える曲が書けたとき、誰かに愛されてるなぁと思うとき、ふと頬に山や海の風を感じたとき、エトセトラ。そんな瞬間に小さなハピネスはやってくるとです。

 もうすぐツアーが始まるとです。足を運んでくれる人たちも、仕事があるからか、だんだん当日券で来る人が増えてるそうです。毎回スタッフやイベンターが冷や汗をかいとるそうです。ぶっちゃげた話、我々は潤沢な資金をもってツアーをやっている訳じゃありません。吹けば飛ぶような集団だけど、譲れない志がある。そんなもんです。みんなが音楽をそれぞれに感じてくれて、それぞれの「ハピネスのカタチ」を見つけてくれる。そんな空間を目指しとるとです。その昔、山本と云う風変わりなマネージャーが「いつまでも、あると思うな、当日券」と云うヒドいコピーを考えたことがあるとですが、前売り券をゲットしてくれて、我々をサポートしてくれると嬉しいです。今更、隠すことも何もないとですが、俺が独りで全国を廻っているとき、「今度は必ずバンドで来て下さいね」とたっくさんのファンに云われました。俺も思わず「う、うん」と応えるとですが、もちろん沖縄にだって、四国にだって、東北にだって、北陸にだって、北海道にだって、山陰にだって、バンドで行きたかとです。いい音で聞いて欲しかとです。本当にすまん、と心から思っとります。その状況を変えるために、我々もスタッフもイベンターも全力を尽くしとります。なので、上記のようなサポートをしてくれると、嬉しかです。情けないとか思わんです。今のバンド、一人でも多くの人に観て欲しいですもん。これが現状ですもん。それは変えられるとですもん。もうすぐリハーサルが始まります。みなさんに会えるのを楽しみにしとります。

 魯迅の言葉。「最初から道などあるはずがなく。目の前にあるのは原野だけ。けれど、多くの人々が目的を持って歩みを進めるとき、そこに出来るのが道だ」、と。まったく。それは思い描く幸福のカタチのひとつなのです。

追伸
写真はカメラに残っていた阿蘇の春の風景。四季のある場所には二度と同じ風景はないとです。それって音楽に似ていると、思うとです。

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by 山口 洋