この惑星の未来、旭川藤女子高校にて

2007/07/09, 19:38 | 固定リンク

7月9日 月曜日 晴れ 

 大学を卒業して以来、学園祭でのライヴを除いて、自らの意思で「学校」と呼ばれる場所に足を踏み入れたことはない。そこは俺にとっては、ほぼ「苦い」思い出しかなく、出来ることなら近づきたくなかったからだ。

 前述の愚弟トミーは旭川の女子校で教員をやっている。奴はとてもhonestで、時として無意味なほど熱く、バカみたいに音楽を愛している。そんな奴が「うちの高校で歌ってくれ」と云う。うーん、学校か、俺が一番足を踏み入れてはいけない場所だ。でも、俺は奴の頭に閃いた直感を信じてみることにした。何故なら、頭は薄くなったけれど、奴の眼差しが昔にも増して、光を放っていたから。

 こうして、全校生徒と先生方、一部の親御さんを体育館に集めて、ライヴが行われることになった。結論から書くなら、彼女たちの持っているエネルギーは無垢かつ、まっすぐで、俺の想像を遥かに超えて強大なものだった。素晴らしかった。疲弊した大人たちが多い中、彼女たちにこの惑星の未来を見せてもらった、願わくば、音楽の持つ力が伝わらんことを。

 放課後、とあるバンドと一緒に演奏した。今まで、何度もプロデュースをやってきたけれど、見た事がないほどの - 恐るべき吸収力だった。10分もすると、見違えるように生き生きと演奏していた。ひゅーっ。音楽ってすげぇ。ありがとう。あらためて教えられたよ。

 学校は大人と子供の2つの世界が交錯する、とても不思議な場所だ。ほんの数時間滞在しただけで、何かが分かるはずもない。でも、確かにこの社会の縮図でもあると思う。村上龍さんがいつか書いていたように、「この国には何もかもがある。けれど希望だけがない」。そんな世の中だけにはなって欲しくない。

 トミー、校長先生、骨を折ってくれたみなさん、そして何よりも未来ある君たち。素晴らしいエネルギーをありがとう。その想いと花束を胸に、俺はまた新しい歌を紡ぎます。また、何処かの空の下でね。多謝&再見。

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by 山口 洋