余白

2007/08/31, 21:37 | 固定リンク

8月31日 金曜日 晴れ 

 山に居るのは静かに自分と向き合いたいからです。テレビも新聞も高速回線も携帯電話も何もないと、いろんな自分が見えてきます。雲や山や風や雨に「ありがとう」と云う気持ちが湧いてきます。けれど、彼等と通じ合う言葉を持たないから、音楽に向き合っている。そんな言葉をどこかで読んだ記憶があります。
 録りたかったものは、ほぼ録音し終えました。明日からはミキシングをしています。何も足さない、何も引かない。ただ、そこに人が居て、ギターを持って歌っているだけ。相変わらず、俺、音程悪いなぁ、と思いますが、それもまた、あるがままに。
 現代社会には余白がなさすぎると思うのです。たまにテレビをつけても、間断なく音楽が流れている。けれど、思うにそれはまったく効果的ではない。ある種の洗脳のような気さえしてくる。ニュースにまでBGMがつくに至って、絶望的な気分になるのです。自分が持っているメンタリティーとは「余白」あるいは「隙間」、「マージン」と呼んでも良いものだと思うのです。例えば西洋の絵画は背景まで塗られているけれど、日本画は淡くて余白がある。そのようなものだと思うのです。音と音の隙間から、聞いた人が何かを感じる「余白」のある音楽。そんなものが作れたらと夢想しています。

img07080019_1
by 山口 洋