made in Aso完成

2007/09/24, 19:34 | 固定リンク

9月24日 月曜日 晴れ 

 うぐぅ。飲みすぎた。ホテルのフロントに下りて来た学ばない男どもの顔に「飲み過ぎ」と書いてあったのを俺は見逃さなかった。男ども6人は正しい定食屋(寅さんに出てきそうな店だよ)で腹を満たして、飛行機の搭乗まで、弘前城で寝転んで、それぞれの空を見上げた。頭ぐわんぐわん、でも風は心地よく、嬉しいような寂しいような、不思議な感覚だった。

 東京に戻り、沢山の楽器を抱え、混雑する空港を歩いた。いつの日からこの国の人たちに「思いやり」が欠けてきたのだろう?まぁ、俺たちの見てくれも充分に柄が悪いとは思うのだが、誰ひとり、エレベーターのボタンを押してくれたり、待ってくれたりする輩は居ない。我、先に。我、先に。

 これまた信じ難いほど渋滞した道を抜けて、魚先生にお願いしていたマスタリングのブツを受け取る。これにて、made in Aso、音源は完成。先生のマエストロっぷりは異次元に達しつつあって、ダイナミクスを殺さない(それは俺の音楽の命だがら)、ふくよかで優しい音に仕上がっていた。嬉しかった。
 これを機にマスタリングについて簡単に触れておきます。それってどんな作業?って人が多いと思うから。CDに記録できる音圧は有限なのです。ラジオで流れた際、他のアルバムと「音圧」で負けないために、現在は弁当箱にご飯粒がスシ詰めになっているように、音が詰め込まれるマスタリングが主流です。それはコンプレッサーと云う機械で圧縮されています。ぱっと聞いたら、元気よく、明るく聞こえる。でも、俺たちゃ、それが大嫌いなのです。何故なら「余白」が全くなく、ダイナミクスがない、ただ「うるさい」だけの音になるからです。現在のテレビが音を消しても、字幕で内容が分かるように、音楽でさえ、「想像」するだけの隙間を音楽家自らがなくしつつあるのです。それゆえ、このアルバムは他のものを比べると、音量が少し小さく聞こえるかもしれません。でも、自分好みの音量を1曲目で決めてみて下さい。そうすれば、アルバムの最後まで適度な「隙間」と共に音楽が流れていき、リスナーが風景を「想像」するための隙間が生まれてくるはずです。

 さて、朝目覚めると、自分が何処に居るのか不明になってきた俺ですが、明日、明後日は吉祥寺のスターパインズ・カフェで初日はソロ、二日目はトリオでの出演です。働いている人たちが音楽への愛に溢れてるんで、仕事帰りに一杯飲みつつ、気軽に遊びにきて下さい。働く者に愛を、アゲイン。

by 山口 洋