made in Aso、その後

2007/11/28, 16:09 | 固定リンク

11月28日 水曜日 曇り 

 今回、俺のソロ・アルバムを通販以外に、言わば「山口洋認定ショップ(偉そうにすいません)」にしか置かなかったのには訳があるとです。アルバムをリリースする度に、我々はインストア・イベントのような形で全国を廻ります。大抵はメガ・ストアが中心です。語弊のないように書けば、中には「音楽に愛情を持って接している人」も居ました。けれど、大抵の場合、ひどいものでした。思い出したくもないので、起きたことは書きませんが。「音楽」を売って、それを生業としているのなら、それに対しての「商品知識」と「愛情」と「プライド」を持つのは当然です。後はイマジンして下さい。
 バンドのアルバムをこのようなやり方で売っていくのは、さすがにリスキーだと思います。自ら販路を狭めている訳ですから。けれど、ソロならそういう実験もありかな、と。このレコード不況の中、音楽に愛を持って接している店はもちろんのこと、まったく音楽とはかけ離れた業種でも、そこに集う人々には何がしか伝わるものがあるだろう、と。逆にこのアルバムを買いに来てくれた人々が、そのお店のポリシーに興味を持ってくれて、何かが広がっていくのではないか、と。些細な動きではありますが、そのような事例が沢山報告されています。我々が野菜がなければ生きていけないように、音楽もしかりだと、僕は思うのです。このアルバムに関しては、著作権を除いて、すべての権利を僕個人が有しています。ですから、自分が思うように、誰の阻害を受けることもなく、自由にやり取りが出来るのです。やっと、ここまで来たか、と思っています。道のりはまだまだ遠いけれど。何であれ、沢山のサポートをありがとう。お店のリストは「made in Aso特設サイト」に載っています。随時、更新します。是非。

 先日、九州に滞在していた時のことです。生まれ故郷に「Loft(大型雑貨店)」が出来たとです。ちょうど九州の魂とも云える、稲尾和久さんが亡くなった頃で、僕はテレビを観ていました。そこに高名なコピーライターが一日店長として現れ、「九州(福岡だったかも)に足りなかったのはLoftだ」。とのたもうたとです。僕は脳味噌が沸騰するのを感じました。ある種の人にとって、それは云えとるのかもしれん。でも、少なくとも、僕にとって、そのタカビーなモノ云いは我慢ならんものでした。もちろん九州にLoftが出来ることを否定しません。そんな権利もないし。ただ、我慢ならんのはそのモノ云いなのです。随分前、小倉に「ラフォーレ原宿小倉」っちゅー店が出来ました。もうなくなったけど。それと同じです。何故「ラフォーレ小倉」じゃないのか?僕にはまったく理解できないのです。最近のblogに引用したように、この時代に生きる人々には「全体的なものの見方」が必要だと思います。自分に甚だそれが欠けているとも思います。だから、自分に出来ることをやっていくことでしかないのです。前を向いて、背筋を伸ばして、いつもより少しだけ遠くを見つめながら。

 明日から沖縄です。実に久しぶりです。会えるのを愉しみにしています。

by 山口 洋