そのジャジャ馬ベーゼンドルファー、金沢にて

2007/12/21, 02:40 | 固定リンク

12月21日 金曜日 曇り 

 朝。あやうく飛行機に乗り遅れるところだった。やばかった。コンコースを共に走ってくれたリクオは「ありがたいわ、これで酒抜けたわ」と。
 金沢に着いて、メロメロポッチを訪ね、店主熊野某と話した。愛しの近江町(金沢の台所)はみるみる変化しつつある。けれど、師走の食材を求めて賑わうその通りは、まだ確実に生きているように、俺には見えた。かの店では、メロメロポッチの歴史を振り返る展覧会が開催中。是非、行かれたし。イカレた素晴らしき、この店に。

 金沢は甚だ文化度の高い街だ。歩いていて、そう思う。モノを作るキチガイにも寛容だ。それは肌で感じる。
 
 さて、もっきりやである。70年代にトム・ウェイツが歌ったっちゅー、その店である。ここにはジャジャ馬、ベーゼンドルファーがデンと鎮座していらっしゃった。俺も弾かせてもらったのだけれど、こんなにレスポンスが遅くて、なおかつ立ち上がりの速いピアノにはお目にかかったことがない。要するにレンジとキャパシティーが広い。古くていい楽器は一台一台個性が違うものだ。彼女にどんな歴史があって、ここに鎮座しているのか、俺には分からないけれど、きっと、「失恋」とか「逃避行」とか、エトセトラ。いろんなことがあったんだろうって、音がする。ハコが育んだ歴史、ジャジャ馬を鳴らすリクオの音、客席のそれぞれの想い、それらが相まって今日のライヴを作ったんだと思う。楽しんでくれたかい?俺はね、何の無理な力もなく、そこに居ることを楽しんでた。ありがとう。メロメロポッチからもっきりやまで。この街の振り幅が、そしてそれらを繋ぐ同じ想いが、ぐっと来た、今日の金沢だった。ありがとう、アゲイン。。どうか、よいお年を。

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by 山口 洋