花火

2008/08/05, 21:03 | 固定リンク

8月5日 火曜日 晴れ 

 かつて、僕は細海魚、浜田亜紀子、トム・ラブランクと共に、この写真展のために音楽を作った。制作のためのバジェットは皆無だったけれど、被爆者の方々60人の笑顔を山の家の床に並べて、眺めているだけで、関わったミュージシャン全員に強いイメージが湧いてきた。それを一気に録音して、完成させた。得難い経験だった。
 撮影した宮本佳子が心がけたのは、「それぞれの被爆者の皆さんが、遺影にも使えるように、できれば笑顔で、カメラに向かって欲しい」という、俺が一生かかっても云えないようなむこうみずなリクエストだった。結果、写真に刻まれたそれぞれの「笑顔(そうでない人も居るけれど、きっとそれはその方にとっての笑顔なのだと僕は思っている)」が圧倒的な力で僕に迫ってくるのだった。その笑顔の中には堪え難い経験を乗り越えて、「espoir」にたどり着いた深い深い表情がいくつもある。実際のところ、残念なことに既に「遺影」として使われた写真もあるのだと。同時に語られた60の証言は、人類の貴重な「財産」だと僕は思っている。このまま、これらの写真や証言が埋もれていくことは、どうしても堪え難い。実はこれらのファイルが一部、僕の手元にもあって、いろんな方面に働きかけている最中でもある。テレビ業界、音楽業界、出版界、いや何でもいい。僕は個人的に原爆資料館にまずは展示されるべきだと勝手に思っているのだが。写真を観て、何かを感じた人はアイデアを寄せてくれないだろうか?

http://cornel.jp/pickup/pickup009.html


追伸
江ノ島では今日、大空に4000発の花火が上がっていた。それがいろんなものに見えて仕方なかった。

by 山口 洋