その男、ポレポレ。広島県福山市にて

2008/10/05, 01:08 | 固定リンク

10月5日 日曜日 雨 

 雨の「しまなみ海道」を渡って、福山に行く。20年以上に渡って、この街の音楽を支えてきたポレポレ。訪れる度に、オーナーのYU(ゆう)さんはタダ者じゃないとは思っていたが。

 開演前にしばらく彼と話をした。いつものように美味しいコーヒーを頂きながら。「いつまでも新人のような気持ちでステージに上がれる人が天才だと思うんよね」と。その言葉で、まっさら(俺にしては)な気持ちでステージに立てた。ここで何度演奏したのか、もう記憶が定かじゃないけれど、その度に違う自分の引き出しが増えていく。いや、YUさんやオーディエンスに引き出してもらってる、の方が正しいかな。タダ者じゃないんだよ、彼は。ぽよーんとした優しさの中に、厳しさがある。だから、演奏で嘘をつこうものなら、すぐにバレる。そんな怖さもある。

 ライヴが終わって、俺にキューバンライスを作ってくれて、自作の「棚からボタ餅」ちゅー曲を歌ってくれた。以下、歌詞の抜粋。

 そのうち何とかなるさ
 果報は寝て待て
 いつか棚からボタ餅落ちてくる ヘイ

 パラパパッパ パーラーラー

 うーん、文字にすると伝わらねーな。顎が外れるほどの脱力ソング。リズムはセカンドライン。「アイコ・アイコ」の意味は分からないけど、あの声で「棚からボタ餅」と歌われると、異様な説得力。一生かかっても、俺は書けないんだけれど、「ねぇ、YUさん、これっていい加減に書いたの?」と聞いたなら「いや、真面目に書けば書くほど、俺はこうなるんだよ」と。

 松山から福山までの一日。何だか、2000キロくらい移動したような妙な充実感があったなぁ。YUさん、ポレポレ、雨の中、足を運んでくれた人々。本当にありがとう。「ポレポレ」の意味、未だに俺は分かってないんだろうなぁ。

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by 山口 洋