Live at Cafe Milton完成 - その1

2009/03/17, 22:39 | 固定リンク

3月17日 火曜日 晴れ 

 ぱんぱかぱーん。山口洋のソロ・アコースティック第二弾、「Live at Cafe Milton」。本日、マエストロ魚さんのマスタリングが施され、無事完成しました。弾き語り史(何やそれ?)に残るであろう名盤完成です。これからプレスに廻り、特急で作業を進行させて、4/16のスターパインズ・カフェのライヴでみなさんに届けることが出来そうです。もちろんその週末にあるカフェ・ミルトンのイベントにも間に合います(多分)。通販、その他、詳細が決まったらまたアナウンスします。 

 この数年、ギター一本で、地方をくまなく廻ってきました。元気のない町も多々ありました。それでも、オーディンスは音楽を求めて足を運んでくれます。その中にある「音楽の奇蹟」をアルバムとして、どうしてもパッキングしなければ、バンドの30周年もクソもあるか、と云う思いでした。
 宮城県白石市は人口2万人の城下町です。そんな小さな街にカフェ・ミルトンはあります。マスターとママ、ほぼ二人でこの店は運営されています。15年の歳月をかけて、その店は街にはなくてはならないものになっています。アイルランド風に云えば、パブそのもの。パブとはpublicのパブです。公民館兼酒場。和風に云えば、「ファンキーな檀家を抱えたあるべき形の寺」。客層は老若男女入り乱れ、親が飲んだくれているのに、隣のテーブルではキュートな中学生が宿題をしていたりするのです。
 初めてこの店で演奏したとき。ここには「音楽の神様」が棲んでいることに気づきました。それは情熱と歳月が作り上げた神様です。それはミュージシャンの魂に下りてきて、自分では考えられない力を発揮させてくれます。不況だ、不況だ、と云われる中、僕にとってあるべき地方の姿がそこにはありました。それを全国にどうしても伝えたかったのです。2008年12月7日。2009年2月21日。その二日のライヴの中からテイクを厳選して、リスナーが居間で一本のライヴを観ているかのようなアルバムを作ることにしました。
 12月7日。開演前のミルトンの楽屋に一本の電話がかかってきました。僕の大切な友人、岡田昌が危篤に陥っているという内容でした。そこで、僕は彼の魂と会話をしたのです。会いには行けないけれど、自分の現場で全力を尽くす、と。彼を思って歌った新しい曲「life goes on」も音楽の奇蹟と共に収められています。このアルバムは岡田昌の魂に捧げられています。

 ただでさえ狭い店内にカウンターの内側にまでお客さん約70人がひしめいている。傍らでは薪ストーブが炊かれ(そのパチパチと云う音も存分に収録されています)、ストーブの前に座った勝手知ったるお客さんが頃合いを見計らって薪を投入する。そんな空間です。都会のハコでは考えられない空間を存分に味わってもらうため、ミキシング、マスタリングには細心の注意を払いました。さぁ、楽しんでください。(つづく)

 今日はデザイナー渡辺圭一によるジャケットを載せておきます。4649。

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by 山口 洋