中春こまわり君

2009/03/31, 14:04 | 固定リンク

3月31日 火曜日 晴れ 
 
 新聞の書評で少年警察官の「こまわり君」が38歳になっていることを知った。漫画に夢中になったことはあまりないけれど、小学生の時分に読んだ「がきデカ」は特別に好きだった。日々の暗闇を照らすヘッドライトみたいだった(小学生にだって、充分な闇はあった)。どれだけ美しく「死刑!」を決められるか、悪ガキと競い合う。学校の都合で他愛のない劇をやらされるのが嫌で、自分が中心になって脚本を書き「がきデカ」をやって、ひんしゅくを買ったこともある。イケメン西城君のお面をかぶって、悪行の限りを尽くすこまわり君の「お面からはみ出た頬」がたまらなく好きだった。
 そんな訳で「中春こまわり君」を読んでいます。こまわり君が息子の登(のぼる)に話しかける。「知ってるか。人間の魂が星を旅する話を。人間の魂は天界で生まれて、たくさんの星を巡り歩くんだそうだ。魂は訪れたそれぞれの星でいろいろなものを与えられる。愛情とか憎しみとか、怒りとか、悲しみとか」。「つまり星が魂に人間の資質を与えるわけだ」。「生まれる人間が幸せになるか不幸になるかは、その魂が星でどんなものを与えられたかで決まる」。「そう考えると、人間は蟋蟀(こおろぎ)じゃないことがよくわかるだろう」。(無断引用お許しを)大笑いしたあと、じーんと不思議な感動をした。まさか、こまわり君に泣かされる日が来るなんて思ってもいなかった。あの頃、こまわり君に夢中になってた人は、是非読んでください。大人になるのは悪くない。哀しいことも山ほどあるけど。傑作です。Life goes on!

by 山口 洋