Carpe Diem

2009/05/15, 19:07 | 固定リンク

5月15日 金曜日 晴れ 

 名古屋から岡山に向かう。頭の中には、野田敏が25年以上前に書いた歌「カモメ」がずっと流れていた。福岡の小さなライヴハウスでこの歌を聞いたとき。音楽の持つ力に打ちのめされて、そして異様に励まされたのを昨日の事のように覚えている。すごいけど、ひょっとしたら僕にも出来るんじゃないか、と。グルーヴィーで、永遠に終わりそうになくて、この曲を聞いていると何処までも飛んでいけそうだった。誰かがカバーしているものを除いて、僕が知る限りこの曲は音源化されていない。だから、たった3回くらい「生」で聞いただけなのに、僕の心に深く浸透していることになる。20年以上前の話なのに。あれだけ歌詞を覚えられない僕が、この曲はソラで歌える。長い年月の間に、僕が勝手にねつ造しているかもしれないけど、こんな曲だ。歌詞しか伝えられないのが残念だけど。

「カモメ」 by 野田敏(ヒロシうろ覚えバージョン)

over the ocean
over the sky

ひとばんじゅう 狂ってなさい
ひとばんじゅう 歌ってなさい
ひとばんじゅう 叫んでなさい
ひとばんじゅう ひとばんじゅう

草原を越えて行こう
僕は飲んだくれてフラフラだ
僕をそこへ連れていっておくれ
そこは君が夢見た場所だ

ひとばんじゅう 震えてなさい
ひとばんじゅう 見つめてなさい
ひとばんじゅう 黙ってなさい
ひとばんじゅう 感じてなさい

君はなんて素敵
カモメのように自由だ
僕を連れていっておくれ
僕のそばに手を差しのべて

地平線を越えて行こう
そこは君が夢見た場所だ
僕らの空に雲はなく
カモメのように自由だ
自由だ 自由だ 自由だ

over the ocean
over the sky

 先日、師匠、野田敏に会ったとき、この曲がいかに僕に影響を与えたかってことと、何で歌ってくれないんすかっちゅー話をしたら、「この曲を歌うのを止めたのはね、港で実際にカモメを見たら、実にせせこましい鳥で、全然自由じゃなかったんよ」と。大笑いしたあと、僕は思ったのだ。頭の中で、飛ぶのは誰だって自由だ。不自由なカモメが草原を飛ぶはずはないのだけど、それでもその姿を「イマジン」すると素敵じゃんって。師匠を説得しても無駄なのなら、オレが歌うことにしよう。だって、これだけ鳴り響いているってことは、今のオレには必要な歌なんだから。
 リアム・オ・メンリィー一行と何故か佐渡に居たことがある。草原でリアムは確かに飛んでいた。手を翼のようにいっぱいに拡げて。アホだなぁ、と上空を見上げてみると、トンビがリアムと同じ格好をして飛んでいた。まるで、アラン・タネールの映画のワンシーンみたいだった。僕が突然スキーに恋したのも、同じような感覚なのだと思う。落下ではなくて、飛ぶようなあの感覚。僕らはカモメのように不自由だけれど、自由だよ、きっと。無いものを嘆かず、今有るものに感謝して、空を飛ぶのさ。

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by 山口 洋