クリオネの光、代官山にて
2009/05/24, 03:32 | 固定リンク
5月24日 日曜日 大雨
昨日の「僕とうつの調子っぱずれな二年間」の著者、S君のblogにこのような記述が。
「羊たちの沈黙」のレクター博士役、アンソニー・ホプキンスの言葉。「私は精神の暗部に惹かれる。人間の最も創造的な部分だからだ。精神の暗部を否定すれば人生はつまらなくなる」。
うーん。心に闇を抱えている当人にとって、それは大変なことだ。他人にそこを指摘されるとひどく疼く。闇を抱えたまま、そのままでいいなんて思っている人間は殆どいない。どうにもならないから闇なのだ。けれど、ホプキンス氏の言葉を借りるまでもなく、闇を否定するのではなく、それを痛みと共に受け入れたなら、創造のためのある種の源となることもある。闇に居ると、あるいは深い穴の中に居ると、次第に目が慣れてくる。そこに差す一筋の光ほど眩しいものはない。量は微量でも、あれほど眩しく感じるものもない。S君は著書の中でこう書いていた。「もし、周囲にうつの人が居るならば、頑張れと励ますのではなく、共に歩みながら、足下を懐中電灯で照らしてあげてください、と」。それが愛だと僕も思う。迷えるものには愛を、子供達には希望を、大人たちには忍耐を。
土砂降りの雨の中、代官山で魚たんとライヴ。ステージに上がったとたん、彼が「クリオネ」に見えて仕方なかった。本当だよ。響きとか、ほころびとか、いろんなハンディーはあったけど、僕らは無言のうちにその「ひかり」を描こうとしていたのだと思う。何も云わずとも、それを理解してくれるクリオネ君に本当に感謝してる。ありがとう。「悲しいなんていう事実はない。それをどう捉えるかだけだ」。その言葉を胸に刻んで、僕らは音楽を奏でていた。土砂降りの中、足を運んでくれてありがとう。「それでも世界は美しい」と僕は思う。
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