this light

2009/05/25, 04:52 | 固定リンク

5月25日 月曜日 曇り 
 
 音楽に夢中になっているとき。それは今の自分が生きていることを唯一実感できる瞬間。最近、ときどき飛ぶことができる。凄いものを手に入れてしまったぁ、と思うと同時に、状況がそうさせてくれたのだから、感謝もしている。打ち上げなんて、行けない。何を打ち上げるのか、僕には分からない。深夜に帰ってきて、どうせ眠れないから、強い酒を一気に飲んで、自分を強制終了させる。コマンド、オプション、エスケイプ。そして、翌日何もなければ、確実に落ちる。深い穴の中に。耳鳴りと共に。それが今の僕の現実。音楽があって良かったと思うけど、この振幅も正直しんどい。スケジュールが埋まる前に、夏は何も決めずに長い旅に出ようか、とも思う。でも、本当にパスポートを取りにいく気力ももうない。なんか、ネガティヴで申し訳ない。長い間、ロックンロールをやってたら、こんな日々もあるさ。仕方ない。
 昨夜、魚と演奏してるのは本当に愉しかった。まったく覚えていないのだけれど、早朝に彼に電話をしてるらしい。きっと、ありがとう、と云いたかったんだろう。目覚めて、呼吸が苦しかった。息ができないんじゃない。ものすごい窒息感で身動きできない。でも、やり過ごすしかない。誰かが電話してきてくれて、いい話を聞かせてくれる。僕の友達である外国のミュージシャンの話。彼は数年前に離婚した。子供も彼の手元を離れることになった。会いたいと思っていたが、どうにも叶わなかった。クリスマスイヴの日に、3日間だけ一緒に過ごした。でも、直後に猛烈な孤独が襲ってきて、どうにもならなくなった。誰か傍に居て欲しいと、頭がおかしくなりそうになったけど、その時、傍に居てくれる人間は運悪く誰も居なかった。ふと、封を切っていないアルバムが目に入った。それを聞いて彼は深い感動を覚えた。音楽にはこんなにも力があるのかと改めて思った。魂を揺さぶられた彼は、その想いに動かされて新しいアルバムを制作した。だから、このアルバムは世界じゅうで魂の孤独を抱えている人たちに聞いて欲しい、と。そっか、あれを聞いて洪水みたいに何かが自分から溢れてきたのはそういう理由だったんだ。ありがとう。僕は今、変わろうとしている。これほど考えがまとまらない自分もかつて見たことがない。誰かや何かを、心から理解しようとすることは、時には自分が崩壊するくらいのことだってことを学んでいる。別に守らなきゃいけない自分なんて殆どないから、それ自体は怖くない。でも、今、曲が書けるなんて、到底思えない。でも、書いてみようと思う。こんな風に音楽は連鎖していくのだから。自分が書いたものが人を救えるなんて、考えたこともないけれど、窒息したときにしか残せないものがあるかもしれない。そう考えて、少し楽になった。

img09050027_1
by 山口 洋