still life with my guitar

2009/07/09, 15:50 | 固定リンク

7月9日 木曜日 曇り 

 昨日、トマトソースのパスタとポテトサラダとスープを作って喰った。忘れていたことをゆっくりと思い出している。今日は冷製のカッペリーニを作ってみようか、と思う。自分のために。
 このところ、ずっとギターを弾いている。彼女はまるでイタコみたいにオレの気持ちを代弁して、部屋の中に風景を描く。誰かれなしにギターは人にあげてしまった。残ったのは古い相棒、ギルドのD-35。あるときは荒野を駆ける馬のように。けれど、優しくて、粒が立っていて、切ない音も奏でる。彼女は一度もオレを裏切らなかった。ケースの中で、ずっとオレを待っていた。
 自分のギターが雄弁になったのは、歌うことに必死で、ギターを弾くことを手放さなければならなかったからだ。アイロニックだけれど、人生にも同じことが云える。「into」しすぎると、決してものごとはうまくいかない。
 あるようでないような、流れて、漂っていく風景。ときどき新しい曲が生まれてくる。もう何も考えない。ひょっとしてこのメロディーは何処かで聞いたのかもしれない。けれど、経験と未来への想いが新しい歌を作る。自分は時代の媒介のようなものなのかもしれない。永遠の恋人、オレのギターの力を借りて。この風景を誰かに伝えることで、誰かの日々が少しだけ明るいものになるのなら、自分が選んだ職業も悪くはなかったと思う。さぁ、走ってこよう。

img09070011_1img09070011_2img09070011_3
by 山口 洋