新潟にて

2009/08/06, 10:36 | 固定リンク

8月6日 木曜日 晴れ 

 夏の新潟、海の目の前で歌うのが好きだ。ここは唯一、半ズボンと裸足で演奏する場所。このエリアの夏には「生き急いでる」ような儚さがある。夏をいつくしむ人々の想いがある。でも、一般的に考えられているよりは、充分に暑い。
 去年、あまりに気持ちが良かったから、今年は頼まれなくてもやってくるつもりだった。ツアーの一環ではなくても。自分にとっては、人が云うところのフェスみたいなものだから。誰に頼まれた訳でもなく、キャンプしながらカレーをふるまう輩が居たり、浴衣を着て、自主的に手伝ってくれてる人たちが居たり、エトセトラ。ひどく、正しい。会場の海の家、ネフに所蔵されている書物をみて、なるほど、と思う。ユングの研究書、オーケストラのスコアの数々。そして、オーナーはカンツォーネを新潟弁で歌うのだと。首謀者はクマガイ某。記憶が正しければ、2年前、新潟のライヴの楽屋に突然現れた。奴がオレの目の前に現れなかったら、この日はなかったことだけは間違いない。
 会場は満席。風に吹かれて自由に歌った去年の記憶がありありと蘇ってくる。けれど、オレもみんなもオーディエンスも、去年とは違う。細胞も随分入れ替わり、いろんな経験もした。だから、この場のエネルギーを借りて、音楽の力で元気になってもらいたかった。たまたま今日が8/6であったり、友人の死があったり、エトセトラ。楽しんでくれたかい?オレはクマガイと同じく、永遠にジャック・ジョンソンにはなれない男。でも、こうやってこみ上げてくるものがある限り、前に進もうと思う。心から、ありがとう。

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by 山口 洋