とんぶりの味, 秋田県秋田市にて

2009/09/12, 10:10 | 固定リンク

9月12日 土曜日 雨 

 会場入りまで時間があったので、男鹿半島の突端まで行ってみる。初秋の日本海はとても穏やかで、哀しみの匂いはしなかった。でもその色はこの地、独特のものだ。形容を拒むような、深い色。

 the boomの山川君からメール。愛犬、ラムが天に召されたと。そっかぁ。うちのハナとも随分仲良くしてくれたもんなぁ。オレは旅に出てて、会いにいけないけど、あっちでハナと仲良くしてくれ。ありがとう、ラム。

 秋田の川反にあるこのハコに来るのは二度目。店を開いて、20年目。心を込めて仕事をする若い輩と一緒に、音楽に愛を持って続けてきたのがよく分かる。だから、無理な力は必要ない。オレは乗っかるだけ。オーナーのタケシさんはその昔、小坂忠さんのところで、ドラムを叩いていたのだ、と。繋がっていくものだね。総じて、この地の人々はシャイなのかもしれない。けれど、それでいいと思う。オーディンスの反応は、ライヴ後に頂いた絶品の「とんぶり」の味に似ていた。「とんぶり」って「畑のキャビア」と呼ばれていて、その正体は帚に使う植物の先っぽになる実なんだって。この食物、山芋とわさびと一緒に食すると、無茶苦茶に美味い。いぶりがっこやハタハタと合わせてお試しあれ。長い時間をかけて育まれた、この土地ならではの味がするよ。思い出した言葉「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションである」by アインシュタイン。知っているつもりでも、知らないことがたくさんある。というより、知らないことだらけ。だから、旅を続けるのだと思う。稀にしんどいこともあるけれど、オレはもっと知りたいし、面倒でも人と関わって生きていたい。静かな力をありがとう。新しい音楽を作ったら、また必ず戻ってきます。多謝&再見。

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by 山口 洋