the spirit of 津軽, 青森県弘前市にて

2009/09/13, 11:49 | 固定リンク

9月13日 日曜日 雨 

 秋田までやってきてくれたアキラと、男の子チックに弘前まで移動。土手町にある魔界「asylum」にやってきた。店主ヒロシがどれほどの奇人変人であるかは、もう書くまでもあるまい。今年もまた「asylum」の名を冠したイベントが沖縄で11月に行われ、そこでHWはついにフル・バンドで沖縄上陸を果たす。それもこれも、ヒロシを始めとする、北から南までの奇人たちが想いを放射し続け、繋いで、紡いでくれたきたおかげだ。
 奈良さんの絵は、まるで最初からそこにあったかのように、店の壁に溶け込んでいた。ライヴ中に大雨が降り、雨漏りのしずくの音が、音楽の情景を深いものにする。まずはアキラが津軽の情けない風景を描いた。オレは彼らのニューアルバムの一曲に更なる情けないギターを重ねておいた。それからヒロシいわく、津軽の最終兵器、かとうのぼるさんがステージに。この人はとんでもなかった。まさしくリーサル・ウェポン。オレはギターから津軽の匂いがするのを初めて聞いた。彼が使ったコードはたった4つだけ。津軽弁で絶叫と共に「何か」が描かれる。岩に打ちつける激しい波のように、前も見えない吹雪のように、さめざめと降る雪の粒のように、目の前に音の魂が繰り出される。オレがこう書いたところで形容不能。ワンアンドオンリーの観たこともない世界。もしも、何処かで名前を見かけたら、すぐに足を運ぶべし。ただし、処方を誤って、君がダメージを食らったとしても、オレは責任取れないけどね。
 「かとうショック」が店を包むなか、オレはオレで、腹の底から奏でた。余力を残すことなく燃え尽きた。津軽、風景、ニンゲン、そして魔界にある夢。心からありがとう。多謝&再見。

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by 山口 洋