Let's change the world with MUSIC、そして大切なアナウンス

2009/10/07, 21:14 | 固定リンク

10月7日 水曜日 雨 

 昨日、音楽好きのS君からプリファブ・スプラウトの新作「Let's change the world with music」をプレゼントされた。オレは長い間、彼らが作る極上のポップミュージックの大ファンだったので、嬉しかった。最近、ある理由でレコード屋や本屋に立ち入ることができなくなったオレには、最高の贈り物だった。そういえば、名曲「cowboy dreams」が入っているアルバムが出て以来、新作が出ないなぁ、と思ってはいた。S君によると、中心人物Paddy McAloon (アイリッシュとスコテイッシュが混じったみたいなこの名前も最高なんだけど)は難病に冒され、特に耳と目の状態がひどく、自分のピアノの音を聞くことすら苦痛だという状態が続いているのだと。そっか、そうだったのか。でも、彼は長い年月をかけて、アルバムの制作をたった一人で始め、そして完成させた。自ら記したライナーによれば、ブライアン・ウィルソンがあの長いブランクの末、友人達の励ましと助力を受けて遂に完成させたアルバム「smile」にひどく励まされたのだと。
 ところで、オレは豊橋を出て、このアルバムを聞き始めた。確かに思うに任せない体で、しかも一人で作られたアルバムなので、オケの殆どが「打ち込み」で出来ていて、彼のプロデューサーとしての手腕も知っているオレとしては、最初は微妙な違和感を覚えたのも事実。けれど、聞き進むうちに、それを払拭して余りあるだけの、彼が音楽に込めた深い深い愛と感謝の気持ちが伝わってきて、途中から雨なのか涙なのか分からないものがこみ上げてきて、運転不能に。その音楽に「暗さ」や「苦悩」は一切なく、ただただ希望と愛と深い感謝に満ちていた。果たして、今の自分がこのような状態に陥ったとき、このような作品を残せるだろうか?多分、無理だ。音楽を通じて、ニンゲンが進むべき道を「豊かな」形で教えてもらった。おそらくオレにとっては今年最高のアルバム。ありがとう。

 ツアーに出てから、ずっと雨。走れないのはちょっとしんどい。煩悩やネガティヴな考えからシフトする唯一の方法だからして。でも、自然現象に逆らえるはずもなく、それを受け入れる方法を探している。

 さて、気分を換えて、と。これからバンドのツアーに向けて、いくつかのアナウンスがあります。まずは第一弾。

 今までも、ウチの物販隊長を中心に、いろんなグッズをライヴ会場で皆さんに手にしてもらってきたのですが、今回は30周年のツアーと云うこともあり、オーディエンスが求めているものは何なんだろう、と考えました。ウチの場合、絶対に携帯ストラップではなく、「音」だろう、と。幸いにして、この30年間に行ったほぼ全てのライヴの音源が残っています。そのうち、エポックメイキング的なライヴをシリーズ化してリリースしていくのはどうだろう、と。新しくファンになった人は昔の演奏を知らない訳だし、レコード会社に「廃盤」にされてしまったアルバムに入っている曲も、そういう形でなら、手にしてもらうことができる。これに関してはプレスやマスタリングを除いて、音源制作にあまりコストがかかっていない訳だから、手頃な価格で提供することができるし。「作品」というよりも「記録」と考え、修正や編集は行わず、ライヴ一本が全て入っていて楽しめるようになっている。このシリーズ、「official bootleg series」と名付けました。ライヴ会場のみの販売です。今回のツアーで2タイトル手にしてもらうことを考えていますが、第一弾は1995年12月20日に渋谷公会堂で行われたライヴです。収録曲、及びメンバーは以下の通り。ライヴ一本を完全に収録しているので、二枚組になります。クドいけど、そんなバンドだったので許してください。

OFFICIAL BOOTLEG SERIES #001
19951220
Live at 渋谷公会堂
¥2,500

Yamaguchi Hiroshi - Vocal and Guitars
Hosomi Sakana - Keyboards
Oshima Masatsugu - Drums
Onoda Kiyofumi - Bass
Misawa Izumi - Percussion

disc1
1. Winter Sun (5:13)
2. 何よりも僕らしく、何よりも君らしく (5:13)
3. 地平 (7:21)
4. Hey My Friend / Don't Die Young (6:11)
5. 風にハーモニカ (4:03)
6. 灯り (6:38)
7. 森を歩く (4:14)
8. Down (3:53)
9. 荒野の風 (6:10)
10. Tomorrow (7:25)
11. 新しい朝 (9:52)

disc2
1. オリオンへの道 (6:37)
2. 満月の夕 (7:28)
3. Brand New Day / Way (7:12)
4. No Fear (7:18)
5. パンダマン (in your soul) (12:33)
6. 明日のために靴を磨こう (6:18)
7. 千の夜 (5:49)
8. らっぱ (3:39)
9. 馬車は走る (11:39)


 バンドはこのライヴの後、ソニーと所属していた事務所を離れました。このライヴはデビューしてから5年間の集大成でもありました。今、こうして聞き返してみて、いろんな事を感じたのですが、敢えて感想を記すのは止めておきます。聞いてくれる人々のイメージを限定したくないので。

 それからこのライヴに参加してくれたミュージシャンの連絡先も探しています。事後承諾になって申し訳ないす。泉ちゃん、小野田さん、それに大島。もしこれを見かけたら、連絡ください。


追伸
 私、無事に奈良に到着しております。ご安心を。じゃ、明日は奈良で待っとるよ。

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by 山口 洋