新しい靴、30キロ合同練習

2010/01/04, 23:46 | 固定リンク

1月4日 月曜日 曇り 

 昨日は20キロのレースだった。悪条件ゆえ、全力は出さなかったけれど、それでも普段の練習とは違うだけのエネルギーを使った。本来ならば、今日は休養日なのだが、ここで、30キロをゆっくり走り、身体と対話しながら、悪いところはいたわりながら努力すると、本番での35キロからの耐性が養われる。ならば、やるべ。明日が仕事始めのヨシミもそれに参加すると云うので、二人で30キロ走。ペースを一キロ6分に設定しても、昨日の疲れが蓄積しているので、かなりしんどい。身体を壊さないように気をつけながら、とにかく走る。オレの頭に浮かんでいたのはカステラのみ。「あー、カステラ喰いてー」。多分、低血糖だったんだろう。前日、給水所で観たカステラのイメージが頭から離れず。云っておくけど、オレは人生でカステラを喰いたいなんて思ったことはない。でも、その低血糖状態を脳に記憶させておくのも、このトレーニングの意味なので、仕方ない。
 とにもかくにも。オレたちは身体を壊すことなく、キツいトレーニングをやり終えた。ヨシミはもう歩けなかった。そのままオレはコンビニに直行し、カステラがなかったので、シュークリームを原人喰いした。

 家に帰ったら、兄貴分からメールが来ていた。「急にそんなことしたら、身体壊す、いやもう壊れているかもな。走る事によって、弱った精神、肉体を取り戻すのが大切で、決して時間や記録ではない。」まったくもう。分かってますって。ニンゲンはなにがしかの目標がないと、走れないんすよ。ただ、オレみたいな性格のニンゲンは「壊れる」って、寸前のところまで行かないと、その危機感を自覚しないんすよ。そこに至って初めて、オレは何でこんなにがむしゃらに頑張ってんだろうってところにぶつかって、廻りが見え始めて、人に対する感謝の気持ちが芽生えて、「楽しむ」ってことについて考え、壊れないことを考え、そのずーっと先に「ひかり」が見えてくるんすよ。で、その頃ようやく弱ってた精神や肉体が前を向いていることに気づく訳で、そのためには具体的な、ちょっとだけ無茶な目標が必要で、それがタイムだってだけの話なんすよ。オレ、誰とも競いたくないすもん。自分には負けたくないけど。それをバカだとか、強すぎるとか云われると、ちょ、ちょっと待ってくれ、と思うんすよ。確かにバカだとは思う。でも、そのくらい強くなけりゃ、今頃確実に死んでますって。世の中ってその位には厳しい場所じゃないすか。少なくとも、オレはそうだった。だから、「ひかり」が見えてれば大丈夫なんですって。そこに、おわらない愛を持ってたどり着きたいだけなんですって。

 オレの足を守ってくれて、走らせてくれた2足目の靴もぼろぼろになってしまった。800キロは持つと云われ、その通りだった。靴はギターと同じくらい大切なものだ。今のオレにとっては。見た目なんて、もうどうでもいい。足を確実に守ってくれて、大してありもしないこのポテンシャルをできるだけ地面に伝えてくれるものなら。ピタっと来る靴が見つかるまで、スポーツ用品店のお兄さんと根気良く探した。爪のない足をわざわざ見せて、「オレにとっては死活問題なんすよ」と訴えたら、お兄さんはより真剣になってくれた。最後に残ったのは、3時間30分を目指す人のためのプチ・レーシングシューズ。迷うことなくそれを買った。履いたときにピタっと来たのだ。それはアシックス社のものだった。

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by 山口 洋