たんおめ魚先生、名古屋にて

2010/03/16, 05:54 | 固定リンク

3月16日 火曜日 曇り 

 名古屋の栄。ビジネスオフィス街の昼飯時。てんでそぐわないランナーの格好をして、走りました。あの奇妙キテレツな風体も、ぜんぜん恥ずかしくなくなりました。慣れって本当に恐ろしいね。

 さて。魚先生は本日バースディ・ボーイでした。あまり知られてないと思うけど、彼は僕よりひとつ年上です。バンドの野郎共なんて、滅多なことがなけりゃ、誕生日に特別なことはしません。はい。そういうものです。オレも魚先生も、祝われるのは、そりゃ嫌じゃないけど、恥ずかしさの方が先に立つっちゅーか。でもオーディエンスに「おめでとー」と云われた日には、オレとて、歌いますとも。彼とはもう18年の付き合いになりますが、観客との「例の曲」の大合唱は悪くなかったです。ありがとね。

 名古屋のハートランドの音響チームはいい仕事をしてくれました。ミキシングコンソールのフェーダー(音の上げ下げをするツマミみたいなもの)は触らないためにあるのです。ダイナミクスはミュージシャンがコントロールするもので、決してエンジニアが作るものではありません。そんな意味で、冒頭からバースディ・ボーイとオレは音楽の宇宙に没入することができました。こんな音楽、地球上でオレたちしか出来んぜ、と本気で思います。愛のある照明もありがとね。音には雫がついています。みずみずしい雫が。それが大きくなったり、重力に負けて落下したり、あるいは中空に浮かんでみたり。そのような風景を全力で描いていることは、ミュージシャンにとって幸福以外のなにものでもありません。楽しんでくれたかな?
 
 終演後、我々は東京を目指しました。正直しんどいけど、時間は有限。明日は明日で有意義に使いたかったからです。オレと魚先生は、もはやあまり酒場には行かなくなりました。道中も静かに会話しているか、あるいは二時間無言でも、別に平気です。バースディ・ボーイは今夜、とてもいい助言をくれました。「ヒロシは天涯孤独だし、しがらみがないんだから、外国に行って、何処にもない音楽を作ってきて欲しい。それが出来るだけのスキルと経験とリレーションを持ってるんだから」。「オレたちもいつまで生きてるか分からないんだから、頭がおかしくなるんだったら、音楽でなった方がいい」。要約すると、人生は一度ってことすね。目が覚めました。それはすなわちバンドを辞めるって意味ではありません。HWは永遠です。メンバーが生きている限り。ただし、音楽の冒険を「本気」でやるには最後のチャンスかもしれない。そういうことです。何処にもなかった音楽に向かって没入する。どうでもいいことに時間を割くのは止めよう。そう思いました。

 我々は実りあるツアーを続けています。残すは千葉、白石、吉祥寺。是非、見に来てください。

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by 山口 洋