R.I.P

2010/03/18, 14:27 | 固定リンク

3月17日 木曜日 晴れ 

 アレックス・チルトン。享年59歳。心臓発作で死去。

 いつだって、好きなミュージシャンの訃報を聞くのは辛い。ヘナチョコで、とんがっていて、それでいて妙にポップで、でもクールで、外見はピーター・バラカンさんにそっくりで、曲が限りなくシンプルで、短くて、軽快。何があっても、飄々と我が道を往く。その態度がとても好きだった。

 絶大な人気を獲得することはなかった。でも、少年時代に心に傷を負った者たちに、確かな「ひかり」を残した。僕が勝手に他人だとは思えない、ポール・ウエスターバーグもその一人。その名も「アレックス・チルトン」と云う、アラレもない曲を書いている。
 彼には一度も会ったことがない。けれど、自分で出かけていけばそれは可能だっただろうし、一緒に演奏することも出来ただろう。そのような後悔を残さないように生きなければ。心から、ありがとう。ゆっくり休んでください。

http://www.youtube.com/watch?v=HgiMlXJQ9G4&feature=related

 最後に好きな言葉を。小林秀雄さんの至言。

 「眼の前に一歩を踏み出す工夫に精神を集中している人が、馬鹿と云われ、卑怯と云われながら、終いには勝つであろう。デカルトが「精神には懐疑を、実行には信念を」という一見馬鹿みたいな教えを書いた。人々は困難な時勢にぶつかって、はじめてそういう教えに人間の智慧の一切があることを悟るのである」。

by 山口 洋