the gift

2010/04/20, 21:33 | 固定リンク

4月20日 火曜日 雨 

 山ではいつも長靴。これに勝る靴はなし。労働は山ほどある。そしてここでテクノを聴くのが好き。ある種のテクノは「悠久」とか「円環」という言葉が似合っていて、気持ちいい。今回の滞在にはいろんな目的があって、多種の洋服が必要だった。最初は音楽を演奏するための服、次に労働のための服、走るためのウェア(雨で叶わないけど)、そして明日からはスーツ。そして悪友が貸してくれた車はジャガー。何だか自分でも良く分からない。

 先日のライヴに来てくれたオーディエンスから手紙をもらった。彼女は昔、僕がやっていたラジオ番組を受験勉強をしながら聞いていた。やがて東京に出て、ライヴに足を運ぶようになった。けれど、ご両親が相次いで倒れ、故郷に帰り、介護にフントーする日々を送るようになった。彼女の日々を支えていたのは音楽。どんなに辛いときも、音楽がひかりだった。けれど、遠い福岡の街で行われている僕らのライヴに足を運ぶことは、物理的に不可能だった。ある日、僕が彼女が住んでいる街でコンサートをすることを知った。とても、とても嬉しかったのだ、と。何かのギフトだと思った、と。要約すると、このような内容だった。ありがとう。でも、ギフトをもらったのは僕の方だよ。介護がどのような日々なのか、僕も知っている。もう一度やれと云われたら、僕は自信がない。そんな彼女の日々に音楽が響いていたとしたなら、こんなに嬉しいことはない。繰り返すけど、本当にありがとう。

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by 山口 洋