都府楼の香り
2010/05/08, 18:21 | 固定リンク
5月8日 土曜日 晴れ
昨夜、DJの今中ちゃんからピーター・ウルフの新譜をプレゼントされた。心ときめく新譜なんて、もうあまりないのだけれど、近年の彼の音楽は大好きだからして、本当に嬉しかった。レーベルはverve、素晴らしい。それから僕は誰かの深い悩みを聞いた。根拠はないけど、乗り越えられない試練なんて与えられない。僕はいつもそう思う。再び根拠はないけれど、まっすぐに遠くを見て歩け。それでいいし、それしか出来ない。
多少の二日酔いと共に目覚め、部屋にはピーター・ウルフが流れた。午後の陽射しに良く似合う素晴らしい音楽だった。昨年亡くなった大好きなミュージシャン、ウィリー・デ・ヴィルに捧げられた曲が収録されていて、彼の優しさにぐっと来た。
亡母命日。ポストにはそっと線香が入っていた。そして、毎年忘れずに故郷の香りを送ってくれる人が居る。都府楼の香り。「東風吹かば においこぜよ 梅の花/あるじなしとて 春な忘れそ」と。いい句だね。あれから6年。いろんな事があった。ありすぎた、とも思う。男子は永遠のマザコン。愛と云うものは素晴らしくて、ひどくやっかいなものだ。看病に追われて、死んで、ひどく憎んで、すべてを許した。それは僕を成長させてくれた。セピア色に変色した写真のサルみたいな幼児は立派な中年になった。たとえ母がどんな人物であったとしても、地球上にたった一人しかいない、僕の母親であることに変わりはないし、大切なものは何も失われていない。僕はまだやり残したことがある。だから、遠くを見て、まっすぐ歩いていくだけだ。ありがとう。
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