small town talk

2010/05/15, 14:24 | 固定リンク

5月15日 土曜日 晴れ 

 おびただしい数の人に会って、少し人酔いする。幸福がなければ、不幸もない。その逆もまたしかり。人の心に堆積した澱のようなものに触れるとき、今日はそれを自分が受け止める余裕があるかどうか判断して、ない、と判断したなら、多少の不義理は良しとする。ようやく学んだ処世術。僕は何事にも本気になりすぎるのだと。
 居心地の良い酒場にて。多数の医者と呼ばれる人たちにあった。この世の「澱」は職種が違っても、基本的には同じだと云うことを知る。複合的に一点を見つめることは、その問題の本質を「あぶり出し」のようにくっきりと浮かび上がらせる。思うに、この国が高度成長を目指し、核家族化が始まったとき、何かは確実に崩壊した。老人達が尊敬されない世の中はおかしい。そしてこの世は、はかなくて、醜くて、たまに美しい。猫が平和に暮らせる街には風情がある。そこにセコムは必要ない。何を守り、何をさらけ出すのか。学ぶことは多い。しばらくして、何故かギターが運ばれてきて、僕は演奏することになった。魚屋さんだとか、医者だとか、焼豚屋さんだとか、エトセトラ。何だか不思議な空間だったが、ポケットに芸があり、どんな場所でも本気になれることは僕を蘇らせてくれる。ありがとう。

by 山口 洋