街と音楽、宮城県某市にて
2010/07/30, 02:40 | 固定リンク
7月30日 金曜日 曇り
その建物を見たとき、顎が外れそうに驚いた。確か人口2,3万のこの街に、何故にこのようなゴージャスなホールが必要なのか、と。ホールだけではなく、隣にはこれまた巨大な体育館とジムが併設され、蓮舫議員が見たら、多分失神間違いなし。写真には収まりきれないけれど、本当にいちいちゴージャスなのだ。バブル期に建設されたのならともかく、それが作られたのは10年くらい前なのだと。どこかの宗教団体が建てたのなら、それに文句をつける筋合いはない。けれど、これは税金だよ。歴史のある素晴らしい城下町だけれど、夜中に飲み屋を探すのにも苦労するような街なんだよ。で、催し物は月に一度か二度くらいだと。いったいこの世の中はどうなってるんだ。僕は特定の団体や誰かを誹謗中傷したいのではない。このような建物を作り、運営する金があるのなら、もっと有意義な金の使い道があるはずだと云っているだけで。
太古の昔からある種の芸術家にはパトロンが必要だった。それは理解してる。でも、昨今、地方都市のコンサートに原子力関係の金が流れていたりする。(今回のイベントの話をしている訳ではありません。念のため)巧妙だけれど、見え透いたプロバガンダ。それを知る度に腹の底からフツフツと怒りがこみ上げてくる。文化にまず必要なのは「ハコ」や「カネ」ではない。「情熱」だよ。オペラだろうが、ロックンロールだろうが、情熱さえあれば、何処でだって出来るはずだ。このホールでしかオペラを伝えられないのなら、僕がこの街の空き地でジョー・ストラマー直伝の「正しいEmの弾き方」を子供たちに伝えたい。
そんな意味で、今日のイベントはまさに「街の人たち」による「街の人たち」のためのものだった。あちこちに街の名産品を並べた出店が並び、人々は普段の服装で気軽に入場でき、多種多様の音楽を楽しんでいた。ああ、良かった。何よりも客席には老若男女が居て、拍手は信じられないくらい長く続いた。それはミュージシャンを鼓舞するには充分なものだった。きっと奔走した人たちが込めた愛がオーディエンスに届いていたのだと思う。実際、街じゅういたるところにポスターが貼られていたし。作ったものを壊すにもお金がかかる。どうか、この建物で街の人たちが元気になるような催しが続いていきますように。
さぁ、僕の出番だ。自分の出来ることにベストを尽くそう。リクオが気を利かして譜面を作っておいてくれたおかげで、僕はヴァイオリンとヴィオラと云う普段あまり縁のない音に包まれて、目の前のでっかい空間に新しい風景を見ることができた。ありがとう。
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