迎え火と送り火の間

2010/08/13, 18:28 | 固定リンク

8月13日 金曜日 晴れ 

 去年、親しい友人が暮らしている山あいの里で、素晴らしい盆の儀式を見て、どえらいカンドーを覚えた。この一年間に亡くなった人のために村人総出で火を囲んで踊る。歌を歌う。当主の挨拶で「これで親父も無事に還ってくることができました」と云う言葉を聞いて、涙腺が緩んだ。たまたま来日していた外国在住の僕の兄貴分の息子は、浴衣をおばあさんに着せられ、訳も分からず踊らされ、カルチャーショックを受けていた。ひひ。あいつ、きっと、日本って何て野蛮な国なんだと思ったんだろうな。
 僕の育った環境は、母親が外国文化かぶれ(ごめん)だったこともあって、盆だと云っても何もなかった。でも、みーんな死んで、姓を残すのは僕ひとりになり、このままだと山口家絶滅っちゅー状況になって、「盆ぐらい還ってきんしゃい、僕しかいないけど」と博多弁で思うのだった。見かねたともだちが、草伸び放題のボーボーハウスをきれいにしてくれ(ありがとう!!)、仏壇をきれいにしてくれた。アイルランドでパブを経営してるともだちから強奪してきた灰皿の上で、ボーボー迎え火を燃やしましたとも。さぁ、みんな還ってきんしゃい。じいちゃん、ばあちゃん、父ちゃん、母ちゃん、可愛がってた犬や猫たち。今日は誰も喰ったことがないであろうキーマカレーを山口家当主が作ってあげます。

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by 山口 洋