みんな激しくイカれてる、試聴会にて

2010/10/07, 03:44 | 固定リンク

10月7日 木曜日 晴れ 

 魚さんとのアルバムがほぼ完成した。やりたいことをフルスロットルで二人してやり切った。誰の意見も聞かなかった。出来上がったときだけは、「もうやり残したこと何もないから、今日なら死んでもいいぜ」と思ったが、当たり前だが、そうはいかぬ。伝えなくては。でも、この作品をどう伝えていいのか、まったくアイデアが湧いてこなかった。今までとはあまりに違う作り方をしたからだ。今までは金銭的、時間的締め切りがあった。でも、そんなことに縛られたくなかったから、行きたい方向にまっしぐらに走ってみた。その音が完成したとき、どうすべきなのか、その音が導いてくれるだろう、と。その音は、「信頼しているニンゲン達の力を今こそ結集せよ」と云った。だから、友人たちに声をかけた。全員、独立独歩で何かを作っている連中。グラフィックデザイナー、映像クリエイター、フォトグラファー、ジュエリーデザイナー、エトセトラ、総勢7名。意識的に音楽関係の人間は呼ばなかった。その応えはもう想像できたから。
 Tさんに東北の絶品の「おばちゃん料理」を作ってもらった。僕はアシスタント。僕の仕事場で何度かパーティーのようなものを催したことがあるが、テーブルがこんなに「おばちゃん色 - つまり茶色系」の食べ物で埋め尽くされたことはなかった。しかし、美味かった。クリエイター達は良く喰って、飲んで、語った。話は右往左往、紆余曲折。何処にもたどり着かなかった。全員が帰ったのは午前3時を廻っていた。でも、愉快だった。全員激しくイカれてる。でも、僕が望んでいたのはこのような無茶苦茶な意見だ。誤解を怖れず、彼らが放った幾つかの言葉をここに記すなら「ヒートウェイヴってつまり共産党みたいなもんなんですよ」(俺、大笑い)、「雑誌に取り上げてもらうなら丸(知ってる?)じゃないすか?」(再び大笑い)、「まぁ、せいぜい苦しんでこれからも頑張ってくださいよ、モノを作るっそういうことすよ」(爆笑)、「このエコの時代に心のCO2、まき散らしたいんすよ」、エトセトラ。うん、何処にもたどり着かなかった。でも、僕は知っているのだ。彼らが本当は、世の中を良くしたいと心の中で思っていることを。ただし、無茶苦茶な意見を咀嚼して、取捨選択はせねばならぬ。あまりにとっちらかって、今は僕も少し混乱してる。アナログでリリースした方がいい、とか、あまりに内容が濃いので2枚に分けた方がいい、とか、映像もパッケージにとか、エトセトラ。僕の頭の中には次と、次の次と、次の次の次と、次の次の次の次までやりたいことが詰まってる。出さないと発狂しそうなのだ。結論は、うーん。明日の朝、起きたら、まずは走ろう。
 と、ここまで書いた午前3時40分、海の向こうの兄貴分からメール。そこにはこう書いてあった。「I always encourage you to go at any given time.」 まったく、Lifeはおもしろすぎる。

by 山口 洋