マサルのこと

2010/12/09, 16:36 | 固定リンク

12月9日 木曜日 晴れ 

 マサル。あんたが逝って、もう二年が経った。信じられないよ。亡くなる前に1000キロを超えて、僕らは会話をした。あんたは病院に、僕は楽屋に居た。あれは何だったんだろう?テレパシーか?でも、いい。確かに話をしたんだから。
 
 あんたが居なくなって、本当に寂しかった。俺たちには兄弟を超える「何か」があったから。まるで自分の臓器の一個をもがれたような感じがした。ようやく受け入れられそうな気がして、あんたの家に行って、線香を上げて、Kが胸を貸してくれたから、朝まで号泣した。不思議なもので、泣きすぎると泣くことに疲れてくる。
 あれからいろんなことがあって、僕は細胞を全部入れ替えた。こうやってあんたとの写真を探してみると、もう僕は別人だ。あの頃も別に太っちゃいなかったけれど、このデブ・ヒロシはもうこの世には居ない。海沿いの道を夕暮れに走るとき、光の道の中にあんたは居る。大切な人はみんなそこに居るんだ。そして、僕の心の中にも。だから、何も寂しくない。僕はすべてを失ったけれど、大切なものは何ひとつ失われてはいない。この頃、そう思うんだ。
 魚ちゃんと新しいアルバムを作ったんだ。聞いてくれ。あんたは好きになってくれると思うよ。その昔、トム・ラブランクと魚と僕のアルバム「EAGLE TALK」をあんたがスーパーバイザーになって作らなければ、「SPEECHLESS」に繋がる道は切り拓けなかった。だから、必然なんだ。すべては。ありがとう。あの頃、語ってたじゃん。「このアルバムで、グラミーのネイティヴ部門はいただきだ。世界に出るぞ」ってね。結局、かすりもしなかったけど、僕は諦めてない。何でかって、あんたと語ってたみたいに、音楽で少しでもこの世界を良くするためさ。昨日、ともだちがレビューを書いてくれたんだ。嬉しかったよ。

http://panwithin-farm.com/blog/

 僕はもう少しこの世でフントーしてみる。死ぬまで生きることにする。何が待ってるのかまったく分からないけれど、永遠のクソガキで居ることにする。マサル、いろいろ教えてくれて、ありがとう。早く「ひかり」になって、あんたの大切な家族や僕や、この世を見守ってくれ。たくさんの愛。

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by 山口 洋