ゴマ鯖ロック - ツアー最終日、福岡にて

2005/12/16, 23:07 | 固定リンク

12月16日 金曜日 晴れ 

 ツアー、最終日。昼の新幹線で岡山から福岡に移動。運良く父親の命日に重なったので、リハーサル前に墓参りに行った。ピースフルな時間だった。
 観客にとって、我々にとって、素晴らしい音楽を奏でるために。ここまでやってきた。当たり前だけれど、演奏する曲は会場によって変えた。ステージの上でも変えた。改善するべきところがあれば、その都度話し合って、たまに口角泡を飛ばして変えてきた。PA上で長年どうしても解決できない問題があった。それは俺が一般的ではない音の好みを持っていることに由来するため(簡単に書くと、俺はメンバーの生の音が好きで、自分の声も含めて、モニタースピーカーから返ってくる音が嫌いなのだ)で、随分とスタッフたちを困らせてきた。で、スタッフの意見を取り入れて、違う方法でやってみることにした。するとメンバー全ての音が些細な部分に到るまで、全て聞こえた。当たり前の事だけれど、俺はステージで前を向いて演奏している。だから視覚でメンバーのダイナミクスを捉えることが出来ない。耳から入ってくる音が彼等の今の状態を理解する全てなのだ。いや、素晴らしかった。心底、演奏することが楽しかった。絶妙なパスの交換が、イメージの共有ができた。おそらくこの曲のあのあたりで、こんなミラクルなパスが飛んでくるに違いない。だから、俺はそこに飛び出しておこう。そんな事が音による情報だけで可能な空間だった。後から観客に聞いたところによると、表のヴォーカルやバンドの音が小さかったっちゅー話だ。でも、残念な事に、俺たちは一生、表の音を聴くことが出来ない。そして音楽に「正解」ってものは存在しない。だから、俺たちは骨を砕いて努力している音響チームを信頼しているし、メンバーも含めて、終着駅は存在しない旅路の中にいつまでも身を置いていたいと思う。いつまでも前に向かって、いい音楽を追求していきたい。
 このツアーは肉体的にしんどかったけれど、ひとつの地点に到達した。その手応えがある。忙しい中、足を運んでくれて本当にありがとう。楽しんでくれたかい?

 ところで、今日のもうひとつのハイライト。魚はヒートウェイヴに関わってもう13年くらいになる。でも、終演後、いつも同じ友人の店に行くので、それ以外の名物を喰ったことがなかった。例えば「ゴマ鯖」。その話を某氏にしたら、「オマエ、いくら何でも魚にゴマ鯖くらい喰わしてやりやい」。だから、イベンターYの計らいで、それを喰いに行った。いやぁ、いい演奏をした後のゴマ鯖は美味かった。本当に美味かった。魚が「美味しいものって癒されるねぇ」と云うので、今日はその記念すべき写真を無断でアップしておきます。本当は「それって、ちょっと共食い?」と思ってたんだけどね。

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by 山口 洋