飛ぶための羽根その2 eagle talk

2007/03/16, 21:43 | 固定リンク

3月16日 金曜日 晴れ 

 2月23日付のダイアリー(http://www.five-d.co.jp/heatwave/blog/index.php?id=07020021)の続き。

 ひょんな事から知り合った、ジュエリー・デザイナー中野さんに会ってきました。彼のお店はknife*acoustic groove(http://k-a-g.com/)(http://kannna-peace.seesaa.net/)と云う名前で、代官山の北口を出てすぐのところにあります。情熱だけは人の5倍くらいある、うちのスタッフ、チビの熱意にほだされ、今回「飛ぶための羽根」を作ってくれていたのです。

 氏に会うのは初めてだったのに、駅の近くにぽつねんと佇んでいた氏を観て、「あ、彼が中野さんだ」といつもの私の直感が申しました。情熱と日々と現実の厳しさをすべてひっくるめた上で、独立して魂のこもった仕事をしている人は、鋭くて優しく、そして深い目をしているものです。我々は握手を交わしてすぐに、同じ方向を向いてモノを作っていることを理解し合いました。嬉しい瞬間でした。

 いわく、日本のジュエリー職人の技術は素晴らしいものなのだと。けれど、安価でそれを請け負う海外の業者に押され、技術が伝承されず滅びていきつつあると。同じことはいろんな分野で起きていると思います。僕はmade in Chinaを即ち否定するものではありません。技術が伝わるのは素晴らしい側面もあります。ただ、例えば中国の経済が更に活性化し、日本と同じような状況になった場合、他の国がそれを請け負うようになるだけのことだと。魂の入ったモノ作り。それは「確かな技術」と「たゆまぬ努力」。そしてそれを支えるユーザーがあって成り立つものだと思います。そんな意味で、彼のモノ作りのヴィジョンと世界を見つめる目は素晴らしいものでした。僕らの音楽の作り方はマイノリティーなのかもしれないけれど、こうやってメゲずに自分の信念を貫いている人が居る。昨日も書いたけれど、そんな「勝手な連帯」が僕をひどく励ますのです。ありがとう。
 
 で、飛ぶための羽根です。そりゃ立派なものを作りたいけれど、あまりにも高いものもどうなんだろう、と。かと云って、ショボいものとか、いい加減な素材を中野さんが使う訳もなく。氏の逡巡の果てに。使っているうちに、身につけた人々のそれぞれの羽根になっていくであろう、シルバーの素材。ターコイズ、楚々と掘られた「KNIFE」と「ESPOIR」の2文字、職人さんの確かな技術、それに繋がる中野さん独自のリング、エトセトラ。made from his spirit。今回は猛々しく飛ぶのではなく、飛ぶための意思を静かに胸の中に持っている人をイメージして作られています。性の区別を付けることなく。ブラボー。

 おそらく50個くらいの限定になると思います。ツア−先の各会場で欲しい人はゲットして下さい。ツアー終了後、お店でも売られることになりますが、代官山と云う場所ゆえ、どうしても高くなってしまいます。革紐が付属していますが、自分の好きなチェーンを付けるのがいいと思います。写真のチェーンは中野さんのお店のものです。素晴らしいものなのですが、付けると値段が上がり、皆さんが手に取りにくくなってしまうので、欲しい人は買えるように10個くらいそれも別に用意してもらっています。

 写真を撮っていて、以前共に音楽を作ったネイティヴ・アメリカン、トム・ラブランクとの作品にちなんで、勝手にeagle talkと名付けました。試作品で作られた2つのフェザーは、もう中野さんと僕の胸に下げられています。何だか兄弟みたいだな。へへ。

追伸
 今日、素晴らしい映画を観たのです。愛するロニー・レインのドキュメント「ロニー」。試写室を出て、銀座の空が広く見えました。俺、音楽好きで良かった。詳細は明日書きます。

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by 山口 洋