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2007/12/31, 15:03 | 固定リンク

12月31日 月曜日 木枯らしの吹く日 

 激しいツアーを終えて、「Land of music /the Rising」の完成を見届けて。俺がしていたことと云えば、連日飲み続けることだけ。会うに会えなかった人たちが、ほぼキャンセル待ちのような状態で待っていてくれたからにして、仕方ないと云えばそれまでなのだけれど、何も酒の席で全力を尽くすことはなかろうに。昨日悪友どもに「あんた顔色が緑色」と云われるに至って、もう酒席は止めようと、固く誓って、海のそばのアジトに帰還しました。ふにー。

 電車の中で、本をむさぼり読んでいました。ほぼ、そのような時間もなかったので、活字がパスパスのスポンジに染み通るように、身体の中に入っていきます。どうやら、俺には「input」が必要なようです。不思議なもので、そのような時期になると、全身が活字やメロディーを欲しているのが分かります。わずか一時間足らずの間に、(大晦日なのに)二回も車内アナウンスで「線路上に人が立っているため、緊急停止し、救出に当たります」と。何だかなー、世相なのかなー。明日から新しい年が始まるんだし、踏みとどまろうぜ、と。おそらく、今年、もっとも、地方都市を廻った類いの人間である僕の実感としては、この国はアメリカにとっても似てきた気がするのです。「一握りの富裕層が大多数の一般ピープルを牛耳ってる」ちゅー。だからと云って、音楽そのものが持っている力がなくなったのか、と問われるのなら、応えは今だからこそ、「non!」。そこに僕は「espoir」を見いだしています。

 全力少年っちゅー、どこかで聞いたような言葉があるとするのなら、今年は「全力中年」のような日々ではありました。どのような時も、ほぼ定点に留まることなく、ポジティヴな漂流を続けていた気がします。稀にポッキリと折れそうな日もあったけれど、そんな日は友が、音楽が、風が、オーディエンスが、エトセトラ。「ま、なるようにしか、ならんさ」と教えてくれた日々でもありました。年末を迎えて、それらの集合した想いが、このクソ忌々しい世界を少しだけ、想像力に満ちたものに変えてくれたことを深く感謝しつつ、五日酔いの身体から酒でも抜くかーと、風呂にお湯を張っているところです。

 木枯らしの吹く日。みなさんにとって、来年が実り多きものとなりますように。今年、一年の声援、本当にありがとう。

                       山口洋(44)         

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by 山口 洋