the circle・旭川にて

2007/12/09, 03:40 | 固定リンク

12月9日 日曜日 雪 

 札幌のホテルで目覚めました。多分、今日もライヴ。八重山ー渋谷ー札幌。この流れはさすがにキツいけれど、流れに身を任せることしかできません。今回は旅の先輩、リクオ先生が全ての段取りを整えてくれています。俺は先輩からいろんなことを学ぶだけです。俺はオンとオフの切り替えが下手なのです。だから、今日一日、奴をよーく観察しておこうと。リクオも俺も札幌駅までどうやって移動したのか、多分今となっては覚えていないと思います。それから「カムイ」っちゅー特急に乗って、旭川を目指しました。だんだん深くなる雪。時に凄まじい自然の力を観ます。道中、まったく眠れない俺につき合って、彼は起きていてくれました。
 リクオ先輩はぬかりなく、会場入りの前に温泉をブッキングしていました。すげぇ。俺なら、さっさとホテルに入って、身体を休めるところです。しかし、彼は雪見風呂に「半身浴」で、昨夜の酒を抜きつつ、モノ思いにふけっていました。スゲェ、アゲイン。その後、我々っつーか、俺は先輩に習って、温泉で半ば死人のように睡眠をむさぼり、会場である、アーリータイムスに向かったのです。
 そもそも、このツアーは今年の6月に僕がアーリータイムスを訪れた際、「ここでリクオと演奏したい」とオーナーと話して、リクオに電話したのがきっかけです。まさか、実現して、こうして旭川に戻ってこれるとはね。
 ツアー2日目。昨日とはまた違う我々がここに居ました。このハコが積み重ねてきた歴史。ここで繰り広げられてきたであろう、数々のエピソード、そして「今」を生きていること。それがミュージシャンを引っ張るのです。2部でリクオが歌っている時。俺は階上の楽屋に居ました。ふりしきる雪、そして漏れてくる音。外の風景は限りなく寒々しく、そして音楽と人は暖かいものでした。訳もなく、じーんとしたのです。嬉しかったこと。今年の6月に訪れた女子校のミュージシャン達が父兄同伴で来てくれていたこと。音楽ってすげぇ、と感じてくれたらいいんだけど。
 旭川に来たなら、アーリータイムスにお茶でもいいから飲みにきてみて下さい。歴史が積み重ねた「気」としか呼びようのないものがここにはあります。それは僕のボキャブラリーで云えば、「文化」だと思います。ありがとう、旭川。住んでる人にはたまらなく憂鬱であろう、積もった雪も、凍てついた道も、僕にはひとつの円環に見えたとです。

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by 山口 洋