奈良しずかと宮島ひとみ、広島にて

2008/04/29, 18:31 | 固定リンク

4月29日 火曜日 晴れ 

 広島です。朝までトラックダウンを敢行し、ニューアルバムを完成させたリクオと新幹線で待ち合わせ。かく云う俺も朝まで働いていたのだが、道中眠れない俺につき合って、リクオは一睡もしなかった。すまん。
 いつもお世話になっている広島FMの生番組に出演した後、今日の会場「ヲルガン座」に入る。ここはオープンして間もないのだが、見たところスタッフは全員女性にて、かつて見たことのない細やかな気配りが隅々にまで行き届いていた。やっぱり男っちゅー生き物は「がさつ」なんだなぁ、と改めて実感。今日のチケットは売り切れで、果たしてこのスペースにそんな人数が入るのかと心配したが、彼女たちはてきぱきと机やテーブルを片付け、きちんと収容されている様に改めて感嘆する。
 ただ、問題は。問題はだね、今だからこそ語るけれど、ステージの両脇の壁にシカ君の頭部の剥製が鎮座しているのだった。俺は剥製が苦手なのだ。何かが宿っている。ビンビンに感じる。以前、ヨーロッパの古城を改造したホテルで、部屋にシカ君の剥製があって、泣きながら部屋を換えてもらったことがある。当たり前だけれど、客席がどんなに盛り上がろうと、シカ君たちは表情ひとつ変えない。彼らをこちら側に引き込むために、名前を付けてみることにした。俺のサイドに居るシカ君には「ひとみ @命名俺」、リクオサイドのシカ君には「しずか @命名リクオ」。インターミッションの間に彼らの本名がそれぞれ「宮島」と「奈良」だと判明し、彼らは晴れて「奈良しずか」、「宮島ひとみ」となったのだった。しかし、怖かった。
 今宵のライヴは今までのツアーのどの場所とも違っていた。暴走気味のリクオを俺が受け止める。新しい関係性だった。きっと、奴はアルバムを完成させて何かが吹っ切れたんだろう。そしてこの場所の持つエネルギーが俺たちをそうさせたんだろう。「ヲルガン座」は細やかな気遣いで、これからたくさんの文化を広島から送り出していくだろう。是非、ご飯を食べに、音楽を聞きに、立ち寄ってみんですか?本当にありがとう。

 いつものように、手伝ってくれている広島の悪友どもと夜の街に繰り出した。今宵は「大人な夜」になるはずだった。いつもの「S」に場所を移しても、静かに飲んでいた。が、しかし。その結末は、、、、、。酸っぱくなるので、このあたりで止めておこう。燃え尽きたリクオが気絶してくれたおかげで、ホテルに帰る口実ができた。ひひひ。

by 山口 洋