食と音楽

2008/08/29, 14:09 | 固定リンク

8月29日 金曜日 雨 

 「お前は食までプロデュースするんか?」みたいな気はまったくありません。俺の本分は新しい歌を書いて、歌うことですから。ただ、この国をグルグル廻っているうちに、政治家は世襲で、一般ピープルの気持ちなんて分かるはずもなく、大型郊外店が林立、あるいは撤退みたいな事実がある一方で、古くからの、多種多様な文化が根付いている素晴らしい国だとも思うようになりました。旅ガラスを疲れを癒してくれるのは、メタボる可能性が高い、高カロリーの食事ではなく、例えば東北のおっかさんが心を込めて作ってくれた、芋の煮っころがしだったりするとです。

 外国には稀に、美味しいご飯と音楽を同時に味わえるような場所があります。家族でふらりとやってきて、美味いものを喰って、音楽を楽しんで、ついでに一杯ひっかけて、また明日からの鋭気を養う。そのような場所が日本にも増えつつあります。例えば、横浜のサムズ・アップとか、明日から2daysをやらせてもらう宮城県白石市のカフェ・ミルトンとか。旅を続けていると、いろんな職種の人間と知り合います。連中と話していると、抱えている問題や構造的矛盾、そして「espoir」がほぼ同じであることに気づきます。何かに魂を込めて、向き合っている人間の想いを繋げていくこと。それも旅ガラスの「吟遊的」使命かもしれん、と最近考えるようになったとです。

 函館に音楽と野菜作りに情熱を傾けているアホみたいに真っすぐな夫婦が居ます。一番の実労働をやっているのはターシャ・チューダみたいな奴のおかんなので、新しい形の「3ちゃん農業」と云えるでしょう。文章にすると伝わりにくいのですが、農薬を使わないなんてのは当たり前で、一度だけ、その作業を手伝ったことがあるのですが、草むしりも、すべて「手作業」で行われます。俺なら、さっさと文明の利器を使ってしまうところすが、奴らにしか分からない「こだわり」があるんだと理解しています。そこで食した「野菜」の本当の美味さに驚愕したので、明日からのライヴで実験的にオーディエンスに食べてもらうことにしました。野菜マニアの俺はもともとドレッシングを使わないのですが、「おー、ルッコラってこんな味だったのね、すげー」みたいな。野菜本来の味がするとです。地産地消ではないので、若干地球には優しくないのですが、是非食べて欲しかったとです。今頃、ミルトンのスタッフが知恵をしぼって、それらの食材を使った美味しい料理を作ってくれてると思います。ライヴに来てくれた人はその野菜も買えるようになっています。贈答も出来ます。「Land of ベジタブル / the eating」だそうです。アホか、お前。

 蛇足ですが、この男。無類の音楽好きで、ウォーターボーイズのマイク・スコットにどうしても俺の音を聞かせたくて、イギリスに渡ったっちゅー、無意味に熱いエピソードを持っています。

 じゃ、野菜に負けないライヴを二日間ブチかましてきます。enjoy yourself!!


追伸
 俺の歯なんすけど、深夜12時に、とある場所に「秘密の歯医者さん」がやってきてくれて、「テクマクマヤコン」診てもらいました。プロフェッショナルに「大丈夫っすよ」って云われると、痛みって楽になるもんすね。感嘆&感謝。

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by 山口 洋