ジャスティス

2008/08/21, 03:53 | 固定リンク

8月21日 木曜日 晴れ 

 弁護士を生業とする人物からの葉書。その内容がとても好きだったから、抜粋。無断転載をお許しください。いわく、

「この仕事に携わっていると、今でも、何が正義なのかわからなくなることがあります。人にはみな正義(言い分)があり、うなづけるものを持っていますが、相手方の相談を受けている弁護士も、同じように感じているのではないかと推測されるからです。私は、自分の依頼者の「正当」な利益を守らなければなりませんが、「正当」かどうかの判断は私に任されています。いくつになっても、こんな基本的なことの判断に右往左往する自分に、恥じ入るほかありません」。

 おわらない自問自答、そして自己検証。自戒の念も込めて、人は「自分の正義」を振り回しすぎると思う。相手にとっての「正義」と自分のそれとが重なり合う場所はほんのわずか、かもしれない。あるいは皆無なのかもしれない。けれど、その煩雑かつ面倒な作業を生涯続けていくしかないんだってことを、彼の文章は教えてくれる。彼とは「仕事」で会いたくはないけど、このような人物とゆっくり酒を飲んでみたいなぁ。それがどんな道であれ、ある部分では同じ場所に繋がっていることを確かめられる気がするから。

by 山口 洋