誰かと一緒に走ること

2009/11/29, 17:23 | 固定リンク

11月29日 日曜日 曇り 

 40日で1200キロ、メインは野宿で、使った金、わずかに10万円。見事に88カ所を歩き通したお遍路君(23歳)に会った。出発前より10キロ痩せて、いい感じに陽焼けした青年の眼には未来の光があった。「で、どうなん?君の88の煩悩は?」と聞いたなら、「それがですね、全然出発前と変わってないんですよ。野宿してたら、隣に女の子が居てくれたらどんなにいいだろう、とか思うんですよね」。がっはっは。素晴らしい。君に未来あれ。

 どうしてもオレに走りを教えて欲しいと云う輩が現れた。云っとくけど、オレ、素人に毛が生えたみたいなもんだよ。あんたも、モノ好きだね。でも分かった。そこまで真剣なら、オレも受けて立つ。まずは安物のマラソン時計をプレゼントして、偉そうに、いかにマラソンが周囲に惑わされず、自分のラップを着々と刻むことが大事かって話をした。輩はまだ8キロしか走ったことがないのだと。ならば、15キロ行ってみますか。オレひとりだと、どうしても根性論に行き着くので、マラソンの友、ヨシミにも来てもらって、3人で15キロ走ることにした。オレは練習のし過ぎで、初めて股関節に痛みを抱えてはいた。でも、今日走れませんってのはあり得ないだろうと。今までに走ったことがないくらいゆっくりと、海を見ながら、世間話をしながら走った。これはこれで悪くない。意外に楽しい。輩は見事に完走した。誰かの達成感を手助けできるのは嬉しいものだ。そして、オレとヨシミはまったく息を切らすことなく、平然と走れることに自分たちの成長を感じ取った。輩は来週10キロのレースに出るのだと。オレとヨシミは再びハーフに出て、その翌週は二人で遂に自主的フル・マラソンに挑戦する。どうなることやら。

by 山口 洋