涙腺

2009/11/28, 17:35 | 固定リンク

11月28日 土曜日 晴れ 

 涙腺がユルくてかなわん。
 午前中、珍しくテレビを観ていた。寅さんの山田洋次監督が現代を憂いていた。家族や地域社会が孤独な人間を支えなければ、レボリューションを起こさなければ、と発言されたところで、氏の優しさに、ホリスティック・ビューに突如涙腺決壊。
 続いて番組は「新日本紀行」に変わった。昔から、この番組が好きだ。今日は熊本の五木が舞台だった。五木は平家の落人が住み着いた山村で、とんでもなく貧しかった。だから、子供は奉公に出される。その子供が故郷を夢見て口ずさんだのが「五木の子守唄」。村近くの峠の名前は「子別峠」。さっき決壊した涙腺が再び潤み始める。五木の村はもうすぐダムに沈む。人口は3分の1になった。その昔から正調五木の子守唄を歌い続けてきた92歳のおばあさんの歌を聞いて、オレの涙腺ダムも完全に崩壊。そのおばあさんの歌を受け継いで、村の小学生に歌を教える50歳のおばさん。そして、最後に中学を出て、鹿児島に行っていたが、故郷が忘れられず、帰ってきた20歳の娘さん。彼女は村の蕎麦屋で今もその歌を歌う。鹿児島で一人で寂しかったとき、いつもその歌を口ずさんでいたのだと。これが歌だと、オレはカンドーを超えて、ぐしゃぐしゃになって、泣くだけ泣いたら、妙に爽やかな気分になった。こんな歌を作らにゃいかん。

 さぁ、走ろう。土曜日のマラソンコースは普段仕事で走れない人たちが沢山居る。中には好きになれない輩も居るけれど、見ず知らずの人間とすれ違う時に挨拶を交わすのはいいものだ。今日は蓄積した疲労を取るために、できるだけゆっくりと21キロを走った。タイムを上げるためにガシガシ走るのもいいけれど、こうやって変わっていく季節を眺めながら、いろんな事を頭に浮かべて、感謝して、走るのが好きだ。ありがとう。ごめんなさい。愛してるよ。もう言葉はそれだけでいい。

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by 山口 洋