本質

2010/04/21, 21:56 | 固定リンク

4月21日 水曜日 雨 

 標高1000メートル。今日は誰とも会話をしなかった。走った時の独り言以外は。エンドレスでipodからロニー・レインが流れている。雨の日も晴れの日も都会でも山の中でも外国でも。彼の音楽が嫌いになったことは一度もない。彼は僕が理想だと思える生き方をして、そして死んだ。未だに彼の音楽からは仲間を信じる力と、若葉の匂いがする。

 雨と雨の隙間を縫って、やっと走れた。標高700メートルから1000メートルの峰まで。往復10キロの道のり。フル・マラソンからもうすぐひと月だと云うのに、身体はまだ恢復しない。あれ以来、嫌になってすべてのサプリメントを止めてみたのだ。そして少し太ろうと努力した。が、しかし。僕の身体はサプリメントなしには走ることに耐えられないらしく、あちこちにガタが来たまま。走行距離をどんなに落としても、体重は増えるどころか減る一方。マラソンの師匠ゲンちゃんに相談して、一度筋肉をわざと落として、もう一度作り直してみることにした。短期間に我流の努力をしすぎて、筋肉が偏っているのだ。もう少し、走ることに適した身体に作り変えようと。できるだけ、サプリメントやプロテインなどに頼ることなく。ぼんやりと次の目標が見えてきた。ミュージシャン最速のランナーは友部さん。彼は3時間17分で走る。来年1月にそれを目標に走ってみようか、と。ライバルだなんて滅相もない。彼は僕にとって、偉大なランナー。前を走ってくれていることが、とても「励み」になる。
 
 少し前に悪友とこんな会話をした。ある種の人間は、その能力があるのに、本質を見ようとはしない。観ることによって、その人物の存在が根底から揺らいでしまうから。無意識のうちに、その人物は物事を自分にとって都合の良い解釈をするようになり、自分が決めた判断基準の殻から出てくることはない。その無反省さたるや、おおよそ信じ難いことがある。かくいう僕らだって、気をつけなければ。

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by 山口 洋