ギターの可能性

2010/04/09, 21:03 | 固定リンク

4月9日 金曜日 晴れ 

 随分前のことだけれど、増殖し続けるギターの数にぞっとした。僕はプレイヤーであって、コレクターではない。だから、いろんなミュージシャンに差し上げた。最後に買ったのはいつだろう。もはや思い出せず。
 「必要は発明の母」。少ない数のギターで地方を廻っているうちに、それで何でもこなせるようになった。もちろんヤイリギターの素晴らしいサポートがあってのことだけれど。ところで、最近ルー・リードの「メタルマシン・トリオ」を観た。彼はギターではなく、マッキントッシュを駆使してノイズを出していた。ディランは「オルガン」を弾いていた。枯れてる場合じゃないだろ、と云うメッセージを偉大な先輩方から受け取った。昨年末、おおはた君と一緒に演奏し、今年、魚さんとツアーを廻り、今一度「ギターの可能性」に僕は目覚めてもいた。誰かの言葉を借りると、「二度目の思春期」ってやつかもしれん。
 魚先生からメールが来て、「面白いギターがあるよ」と。それはとんでもなくルックスがダサく、ここまで格好悪いと、「アイツ、気でも狂ったのか」と、逆説的に格好良く見える類いのもので(なので、メーカー名は書きません)、エレクトリック・ギターの風体をなしているのに、何故かアコースティック・ギターの音も出て、なおかつギター・シンセのアウトプットも付いてるという、僕が絶対に手を出さないタイプのものだった。「うわ、格好悪っ」。それが第一印象。しかも、使用しているのがヘビーメタルの人々が多かったりして、そこに妙に興味をそそられるひねくれ者。
 な、訳で観に行ったのです。実物を。うわっ、やっぱり格好悪い。格好悪いにも程がある。ただし、ハイブリッドの可能性も感じたのです。発想は充分面白い。前述のように一本のギターにアウトプットが個別に3つあり、マキシマムに使うなら、ギターから3本ケーブルが出ていると云う意味不明な一品。格好悪いが、音も悪くはない。ただし、アコースティック・ギターの弦を張れないことだけが引っかかった。ボディーとネックにそれほどの強度がないのです。残念。エレクトリック・ギターの弦をつま弾いていて、音はアコースティックと云う違和感だけは、僕の世代には拭いがたく、買うのは止めました。うーん、メーカーに直訴してみようかな。何とかしてくれませんか?革新的に使ってみるので、と。

by 山口 洋